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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、インフレ指標や雇用データに注目

◆ポンド、6月インフレ指標や3-5月雇用データに注目
◆ポンド、英財政不安は依然としてポンドの重しに
◆加ドル、6月CPIを材料視

予想レンジ
ポンド円 196.00-201.00円 
加ドル円 106.50-108.50円 

7月14日週の展望
 英財政悪化への懸念が残るなか、ポンドは週半ば以降の経済指標に注目が集まる。16日に6月インフレ指標、17日には3-5月雇用データが発表予定。

 前回5月の消費者物価指数(CPI)は、前年比3.4%と予想や4月分から大きく外れなかったものの、コア指数は3.5%と前月から0.3%減速した。また、英中銀が重視するサービス価格インフレ率は5%割れまで鈍化した。雇用データも2-4月失業率は悪化し、平均賃金も減速。6月の英中銀会合ではハト派的ながらも金利据え置きだったが、「次回8月会合では0.25%利下げ」との予測が優勢だ。しかし、CPIの結果次第ではその思惑が揺らぎ、ポンド相場が神経質に上下することは留意しておきたい。

 また、英国の予算責任局(OBR)が公表した「財政リスクと持続可能性に関する報告書」では、1960年代以降で最高水準に達する公的債務の更なる急増リスクが警告された。経済停滞や高金利が財政問題の解決を遅らせ、また医療・年金支出の拡大、気候変動/地政学的リスクの高まりによる負担増も指摘された。財政健全化に待ったなしの状況でスターマー首相の指導力が問われる。

 ところで、英国と米国は5月に貿易協定を締結したが、今後、英国が協定条件(特に中国資本の関与制限)を履行しなければ、米国は鉄鋼・アルミ関税を50%に引き上げる可能性があると警告している。米英貿易協定に関する動向にも注意しておく必要があるだろう。

 加ドルは、15日の6月CPIが材料視されそう。5月分は前年比1.7%と市場予想に沿った結果。2カ月連続でカナダ中銀のインフレ目標2%を下回った。トランプ関税で物価上昇への懸念は残るが、4月からの炭素税撤廃によるガソリン価格下落でインフレ全体が抑制されている。今月30日の中銀会合については、据え置き見込みが優勢。ただ、今のところ「年末までに2回の利下げ予測」が多数派ではある。いずれにせよ、今回のCPIで先行きの金利見通しに変化がでれば、加ドルも値幅を伴った動きを見せるだろう。

 なお、21日までの合意を目指すカナダと米国の通商交渉は継続中であり、カナダにとって最大の貿易相手国との関係に先行き不透明感は残ったまま。カナダ企業は米国への依存度を減らすため、貿易相手国の多様化に取り組んでいるもよう。カナダ政府の統計によれば、昨年5月からの1年間で米国への輸出は10%減少し、総輸出に占める割合も7割弱まで低下した。来週は21日が近づくにつれ、トランプ米大統領のカナダに対する強引な発言などには警戒だろう。

7月7日週の回顧
 円安が先行するなか、ポンドは対円で196円後半を底に昨年7月以来の水準となる199円後半まで上昇した。ただ1年ぶりの200円台を前にして失速。一時198円前半まで水準を落とした。加ドル円も106円割れで下げ渋ると、約5カ月ぶりの高値となる107円半ばまで上昇した。一巡後の下押しは106円半ばまでにとどまっている。

 ポンドドルは1.36ドル台から1.35ドル前半まで下落。加ドルは対ドルで一時1.37加ドル台まで売られる場面もあった。(了)
(執筆:7月11日、9:00)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ