
足もとのユーロドル相場について、米早期利下げ期待によるドル売りと、欧州中銀(ECB)の利下げ休止観測によるユーロ買いが合わさり、上値を模索する動きとなっている。ダウ理論のひとつに「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」とあることを踏まえると、現在のドル売り・ユーロ買いトレンドに影響を与えるような材料が出ないと、流れを変えるのは容易ではないかもしれない。
経済イベントは、序盤に6月仏消費者物価指数(CPI)速報値が予想されている。市場予想は前月比+0.1%/前年比+0.8%と、前月(-0.1%/+0.7%)を上回る伸びが見込まれている。欧州中銀(ECB)の利下げ休止観測が浮上するなか、予想を上回る伸びとなればユーロを押し上げるかもしれない。そのほか、6月ユーロ圏経済信頼感指数や消費者信頼感指数(確定値)なども発表予定。
要人発言では、ビルロワドガロー仏中銀総裁やレーン・フィンランド中銀総裁の発言機会が予定されている。直近の発言を振り返ると、仏中銀総裁は「市場の混乱があっても、ECBは依然として利下げが可能」「ECBの金利は中立水準に戻った」などと発言。フィンランド中銀総裁は「ECBはインフレ水準に満足してはならず、物価上昇率が目標を大幅に下回るなどのリスクに留意すべき」などの発言が伝わっている。金融スタンスに変化がないか見ておきたい。そのほか、NY序盤にウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演も予定されている。
テクニカル面では、ユーロドルは週初に1.1454ドルの安値を見た後は下値を切り上げる動きが継続。その後は連日にわたり年初来高値を更新しており、21年9月高値1.1909ドルまで主だった目標値が見当たらない状態となっている。昨日高値1.1744ドルを突破すると、目先は1.1800ドルや1.1850ドルなど、きりの良い水準を手掛かりに上値を模索することになろう。ただ、前日安値1.1655ドルを割り込むようだと、今週に入ってからの上昇のリズムを崩すこととなり、週末のポジション調整を誘って上昇一服となるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル:26日高値1.1744ドル。超えると心理的節目の1.1800ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:26日安値1.1655ドル。割り込むと日足・一目均衡表の転換線1.1595ドル。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ