
東京市場では主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ドル円は日経平均や日米長期金利の動向を睨みながら、中東情勢関連のヘッドラインに注視する動きとなる。イラン攻撃に米国が参戦し、週明け早朝から「有事のドル買い」が先行している。テクニカル的にドル円は先週末にレジスタンスとして機能していた日足一目均衡表・雲の上限(145.55円)をしっかり上抜けした。週明けは5月29日の高値146.28円を上抜けし、146円後半まで上昇した。5月14日以来の147円台回復が視野に入っている。
トランプ米大統領は21日に米軍がイランの核施設3カ所を空爆したと発表した。米国内では他国への軍事介入に反対の声も多く聞かれ、トランプ氏は19日に攻撃に踏み切るかどうかを「2週間以内に判断する」と表明し、外交的な解決の余地を残していた。ただ、イラン側がウラン濃縮の放棄を拒否する姿勢を崩さなかったこともあり、直接的な参戦に踏み切った。トランプ氏はイラン攻撃の後、国民向けの演説で「攻撃は圧倒的な軍事的成功を収め、イランの主要な核燃料濃縮施設は完全に破壊された」と述べた。また、「平和がすぐに訪れない場合は、他の標的を正確に迅速に攻撃できる」とも語り、イランに報復しないようけん制した。
米軍が直接に参戦し、今後イランの報復次第では紛争がさらに拡大する可能性が高まっており、中東情勢は重大局面に入っている。今のところ、トランプ米政権はイランに対して体制転換に向けた動きは計画していないと伝達したもようで、全面的な対決は回避しようとしている。イランの対応が焦点となるが、イランは米軍の攻撃は「国際法違反」だと指摘し、今後も核開発を継続する考えを示した。また、イラン国営放送は「中東地域にいるすべての米国市民と米軍は正当な標的となった」との見方を伝え、イラン外務省は米国とイスラエルに「全力で抵抗する権利がある」とする声明を出した。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ