
◆加ドル、米加協議への期待で下押し圧力は緩和
◆加ドル、5月CPIや原油価格に注目
予想レンジ
ポンド円 194.00-197.50円
加ドル円 105.00-107.50円
6月23日週の展望
今週のイングランド銀行(英中銀、BOE)会合では6対3で金利の据え置きが決定された。ラムスデン副総裁、ディングラ委員、テイラー委員が0.25%の利下げを支持した。また、中東の緊迫化が強まる中、労働市場の低迷やエネルギー価格上昇のリスクを指摘し、さらなる利下げについて「緩やかで慎重なアプローチを取る」とのガイダンスを維持した。
ポンドは、追加利下げを巡り指標結果に注目。最近の英経済指標では、増税やトランプ米大統領による貿易戦争によって経済と労働市場が大きな打撃を受けていることが示された。BOEの次回会合は8月7日に予定されているが、市場では追加利下げを織り込みつつある。来週は英国内で6月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値の発表が予定されている。5月の製造業PMIは46.4と3カ月ぶりの高水準、サービス部門PMIは50.9と2023年10月以来初めて景気判断の分岐点とされる50を下回った4月から改善された。
加ドルは底堅い動きを予想している。先週の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でトランプ米大統領とカーニー加首相が会談し、1カ月以内の貿易合意に向けて交渉を進めることで一致した。トランプ米大統領は、鉄鋼、アルミニウム、自動車など主要産業を対象とする上乗せ関税の緩和を求めているカナダと政策面での隔たりが残っているが、カーニー加首相の提案にも耳を傾ける姿勢を示し「貿易合意を数週間以内に実現できる」と述べた。
来週、加国内では5月消費者物価指数(CPI)、4月GDPなどの指標発表が予定されている。4月のCPIはエネルギー価格が下がったことが全体のインフレ率を押し下げ、前年比1.7%と3月の2.3%から伸びが鈍化したが、カナダ中銀(BOC)が重視するコアCPI中央値は3.2%と2024年3月以来の高水準となった。今のところ、市場ではBOCが7月会合で政策金利を3会合連続で据え置くとの見方が強い。今週に公表された6月のBOC会合議事要旨では、貿易を巡る混乱や不確実性を受けた基調的インフレ圧力が長期にわたり持続する可能性に懸念が示された一方で、関税の影響で経済が弱体化した場合は追加利下げが必要になる可能性も指摘された。
なお、中東情勢の緊迫化で原油価格が急騰。産油国カナダの経済見通しに対する楽観的な見方が強まり、加ドルの下支えとなっている。来週も中東情勢に絡んだ原油相場に注目したい。
6月16日週の回顧
今週はドル買いが優勢となった。中東の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」と、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに対する慎重姿勢を崩さなかったことがドルの支えとなり、ポンドドルは1.33ドル後半まで売りに押された。英中銀の政策イベントへの反応は限られた。ドル/加ドルは原油高を背景とした加ドル買いが入ったものの、ドル高が優勢となる中1.37加ドル半ばまでドル高・加ドル安となった。クロス円は方向感が限られるも、ポンド円は一時196円後半まで1月上旬以来の高値を更新。加ドル円は一時106円後半までじり高となった。(了)
(執筆:6月20日、9:30)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ