
東証プライムの売買代金は概算で4兆5200億円。業種別では空運、その他製品、証券・商品先物などが上昇した一方、輸送用機器、銀行、卸売などが下落した。株主還元方針の変更とそれに伴う期末配当見通しの大幅引き上げを発表した東亜道路工業が、後場に一時ストップ高となるなど急騰。半面、3Q決算が市場の期待に届かなかった富士フイルムホールディングスが後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1192/値下がり394。フジHDが3Q決算を確認して大幅上昇。本決算を材料にルネサスが12.6%高と急騰した。決算発表にプラスアルファがあった銘柄が買われており、自己株取得を発表した日本電気硝子や創業100周年記念配の実施を発表した野村HDが大幅高。新興市場が活況となる中、アストロスケールなど宇宙関連が人気化した。前日に観測報道で急落して売買停止のまま終えた日産自動車は、きょうは一転強い買いが入り、7%を超える上昇となった。
一方、前日に観測報道で急伸したホンダはきょうは4%安。前日決算で買われたトヨタもきょうは2%安と大きく売られた。米国で長期金利が大きく低下したことが嫌気され、三菱UFJや三井住友など銀行株が下落。決算を受けてKDDI、伊藤忠、ダイキンが大幅安となった。3Q累計で最終減益となったJMDCが15.4%安と厳しい下げとなり、プライムの値下がり率トップとなった。
日経平均は3日続伸。序盤に大きく上げて失速するというのは4日や5日と似たパターンであったが、きょうは後場の動きが良くローソク足では陽線を形成した。値上がり銘柄も多く、終値(39066円)では心理的節目の39000円のほか、75日線(39004円、6日時点、以下同じ)や5日線(38957円)などテクニカルの節目も上回っている。センチメントの改善につながりそうな上昇であった。
米国ではあす1月雇用統計が発表される上に、ワシントンでトランプ大統領と石破首相の首脳会談が実施される予定。期待と不安が入り交じるイベントが2つあるだけに、あすの日本株はこれらを前に値動きが不安定となるかもしれない。特に為替動向には注意を要する。足元で米国の長期金利は低下傾向にあるが、日銀の早期追加利上げも意識されていることで、ドル円は円高(ドル安)に振れている。雇用統計が強ければ米国のインフレ長期化が警戒される。弱ければその警戒は後退するが、米長期金利が急低下した場合には円高に弾みがつく展開も想定される。トランプ大統領がドル高支持者ではないだけに、首脳会談を機にドル円に関して言及するようなことがあった際には、それも円高を呼び込む可能性がある。上述のイベントを前に円高が進んでしまうと、期待よりも不安の方が大きくなってしまう。日本株の流れが良くなりつつあるだけに、為替がその流れを止めないことを期待したい。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ