読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

【市場概況】東京為替見通し=円相場は実質賃金が3カ月連続でマイナスになるかに注目

昨日の海外市場でドル円は、米10年債利回りが4.22%台まで上昇したことも支えに150.70円前後まで値を上げたが、東京市場で付けた高値150.78円には届かなかった。「米カリフォルニア州北部でマグニチュード7の地震が発生、津波の可能性もあり」との報道が伝わったことも売り材料視され150円を割り込む場面も見られた。ユーロドルは、極右・国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏が「今後数週間で2025年度の予算を可決できる」との見解を示すと、仏政局を巡る懸念が後退し仏国債のリスクプレミアムが低下。独長期金利が上昇したことも相まって一時1.0589ドルと本日高値を付けた。

 本日の東京時間のドル円は、10月の毎月勤労統計調査で発表される実質賃金に注目したい。実質賃金がプラスに戻った場合には、日銀の早期利上げ期待で円が買われやすいだろう。ただし、実質賃金は6月に27カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたが、8月(-0.8%)から再びマイナスに戻っている。9月も-0.4%(速報値から下方修正)となり、10月もわずかながらもマイナスになるとの予想で、仮に3カ月連続のマイナスとなった場合でも、今月もしくは1月の政策決定会合で利上げを行うかが注目される。

 実質賃金がマイナスになった場合は、今月は利上げを行わず据え置きに傾くとの声がある。中村日銀審議委員などが兼ねてから「賃金から物価への波及はまだ遠い」「実質賃金のプラス転換に加え、可処分所得の増加が必要」と発言していたように、審議委員の一部が利上げを進めることに難色を示すとの予想がある。中村委員は昨日「消費者物価(除く生鮮食品)前年比で2025年度以降は2%に届かない可能性がある」と発言したように、今後はインフレが抑制される可能性も指摘している。

 一方で、実質賃金がマイナスになった場合でも、政策決定会合にさほどは影響を与えないとの声もある。8・9月と連続して実質賃金はすでにマイナスになり、コア消費者物価指数(CPI)は2%台を維持しているが低下し、実質国内総生産(GDP)も低下している。それにも関わらず、植田日銀総裁は「データはオントラック」と週末の日経新聞で述べていることは、植田日銀総裁は実質賃金やほかの経済指標が多少弱くなろうが、利上げをしたいと捉えることもできる。昨日中村委員も「利上げに反対しているわけではない、データに基づいて判断するべき」と発言したが、このデータには毎月勤労統計や日銀短観、GDPなどとも述べている。毎月勤労統計の実質賃金がマイナスになった場合でも(13日発表予定の)短観が好結果だった場合は利上げに反対しないとも受け止められる。企業に対するアンケート調査である短観と、国民の実態生活に結び付いている他のインフレ指標が同列に扱われるのは違和感があるが、このように発言したのは日銀の早期利上げは既定路線で、実質賃金がマイナスになった場合でも、ほかの好結果指標を要因とし弱い指標結果を無視する可能性もある。

 いずれにしろ、本日は実質賃金の結果次第では、週末を含めて様々な憶測記事が出る可能性があり、市場は神経質な動きになりそうだ。
 
 本日は本邦からはほかにも10月家計調査、10月景気動向指数速報値などが発表されるが、それ以外はアジア、オセアニア諸国では市場を動意づける経済指標の発表はない。中国の人民元取引の基準値設定やトランプ次期大統領のSNS(TruthSocial)などには警戒をしておきたいが、それ以外には突発的なことが起きない限りは、本日の米雇用統計の発表まではトレンドを作る動きにはなりにくそうだ。


(松井)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ