昨日の海外市場でドル円は、米10年債利回りがおよそ2カ月ぶりの水準に上昇を支えに、148.38円まで強含んだ。ナイト・セッションの日経平均先物の堅調推移も追い風となった。一方、ユーロドルは米長期金利の上昇が重しとなって1.0961ドルまで下押すも、前日の安値1.0954ドルを前に下げ渋った。
本日のドル円相場は、リスクセンチメント改善が追い風となるか。前日のナイト・セッションの日経平均先物が堅調に推移したほか、米主要3指数いずれもプラスで引けている。この流れに沿って日経平均が堅調推移となれば、ドル円も底堅い展開が続くだろう。
なお国内では、本日にも石破内閣が衆院を解散すると報じられている。選挙予定とされる27日までは時間があることから、直接の手掛かりにはなりにくいかもしれない。ただし、自民・公明で過半数に満たないなどの観測報道により政局リスクが意識された場合、株価が下落してドル円の重しとなることもありえる。支持率調査の結果など各種報道には当面注意が必要だろう。
昨日は8月の実質賃金総額が発表され、3カ月ぶりのマイナスとなった。総裁選後に石破首相が日銀の追加利上げに否定的な見解を示したこともあり、日銀の早期利上げ期待は後退して円を積極的に買う状況ではなくなっている。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、年末までに利下げ織り込み幅は合計0.50%となっている。1週間前は合計0.75%であり、4日の9月米雇用統計が強い結果となったことを受けて大幅利下げ観測が後退する中では、ドル売りの動きもまた限られよう。本邦株価が落ち着いた動きとなる場合、明日に9月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることもあり、積極的な売買が見送られることも考えられる。
他方、ニュージーランド(NZ)ではNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策発表が予定されている。市場予想は0.50%引き下げが主流であるが、一部で0.25%に留まるとの予想もある。見方が分かれていることから、発表直後は荒れた展開が予想される。
また、声明についても確認しておきたい。前回8月の会合前後に発表されたNZの経済指標を振り返ると、4-6月期国内総生産(GDP)はマイナスだった。インフレは昨年から伸び鈍化傾向が続いており、4-6月期CPIは前年比+3.3%とRBNZのインフレ目標(1-3%)の上限に迫っている。加えて、4-6月期失業率は4.6%と約3年ぶりの高水準となった。これらを踏まえ今後の経済やインフレ、雇用に対してどのような見解が示されるかがカギとなろう。今後も緩和を示唆するメッセージが強調される場合はNZドル相場の重しとなることも考えられる。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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