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【見通し】週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日米の金融政策に注目

◆ドル円、焦点はパウエルFRB議長の定例記者会見での発言
◆ドル円、日銀会合に対するリーク記事などヘッドラインリスクに警戒
◆ユーロドル、慎重なECBの政策発表で10月利下げ観測が後退

予想レンジ
ドル円   138.00-144.00円
ユーロドル 1.0800-1.1200ドル

9月16日週の展望
 ドル円は、日米金融政策発表を控えて神経質な展開が想定される。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅は0.25%でほぼ織り込まれる形となったが、そのきっかけとなったのが今週発表された8月消費者物価指数(CPI)。食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比で+0.3%と予想の+0.2%を上回ったほか、米連邦準備理事会(FRB)が注目しているスーパーコア(住居費を除くサービスコア)も2カ月連続で加速した。これにより、0.50%の利下げ期待が一気に後退しているが、8月卸売物価指数(PPI)が前年比で弱い内容となったことで年内の1.00%利下げ予想は高まっている。仮に9月に0.25%の利下げが実施されても、追加利下げ観測を期待してドルが売られる可能性はありそうだ。注目はパウエルFRB議長の定例記者会見であり、今年の金利見通しについて「今後のデータ次第」と無難な回答に留まるのか、ハト派色を強める見解を示すのか注目が集まる。

 また、日銀については、今週も中川審議委員をはじめ、田村委員も追加利上げを匂わす発言をしており、海外勢を中心に早期利上げ観測は根強く残っている。ただ、前回7月会合時に植田日銀総裁がタカ派発言をしたことで金融市場が大混乱に陥ったことを鑑みると、高田委員が指摘していたように今回は金融市場に配慮した姿勢を示す可能性もある。リーク記事などヘッドラインリスクに警戒しつつ、仮に金利据え置きが明らかになった場合には、ドル円には利上げを囃した向きからのショートカバーが一気に出ることを想定する必要があるだろう。

 ユーロドルは、FOMCの政策発表を受けたドルの動向に振らされるだろう。欧州中央銀行(ECB)は12日の定例理事会で予想通り政策金利を引き下げたが、ラガルドECB総裁は定例記者会見で今後の金利見通しについて「特定の金利経路を事前に約束しているわけではない」と従来通りの姿勢を示した。市場では「改めてECBの政策に対する慎重な対応を確認しただけで、次回10月会合の追加利下げを示唆する内容ではなかった」との指摘があった。

9月9日週の回顧
 ドル円は、週明けから本邦実需勢から買いが観測されると143.80円まで上昇したが、上値は限られた。米長期金利の低下や日経平均先物の大幅安が嫌気されたほか、中川日銀審議委員のタカ派発言も売りを促し、年初来安値となる140.71円まで下落。強い米コアCPIを受けて反発すると日経平均株価の大幅反発も支えに143円台を回復する場面があったが、戻りは鈍い。

 ユーロドルは方向感がない。米インフレ指標やECB定例理事会を前に持ち高調整の売りが先行。週半ばには一時1.1002ドルまで下押しした。一方、米金利低下やECBの追加利下げ観測の後退を支えに1.1075ドルまで反発した。(了)

(小針)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ