昨日発表された8月の米消費者物価指数(CPI)への市場の反応は、米金利・ドル円ともに行って来いとなった。その後徐々に調整の債券売り・ドル買いで、ドル円はやや買い戻されている。また、先週発表された、8月の米雇用統計でも平均時給が前月比・前年比ともに市場予想を上回ったことで、発表直後は一瞬米金利上昇のドル買いに動いたが、非農業部門雇用者数の悪化への反応が大きく、米金利低下・ドル安に動いた。
このように、ここ最近の米インフレ指標の結果への反応が鈍くなってきている。
この要因としては、7月30-31日に行われたFOMC後にパウエル議長が、これまでの「インフレリスクへ高い関心(highly attentive to inflation risks)」から「2つの責務(物価の安定と持続可能な雇用の最大化)の両面におけるリスクに注意(attentive to the risks to both sides of its dual mandate)」に変わったのがきっかけだ。
そして、8月23日に行われた米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム(通称・ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長はさらに踏み込み「インフレ率が2%への軌道にあるとの確信強めた」と述べ、物価の安定への警戒感を緩めている。その反面「労働市場の冷え込みは間違いない」と雇用に関しては、これまで以上の警戒感を示している。よって、ここ最近のインフレ指標の結果では、市場は最低限は反応するものの、これまでのようにトレンドを作るほどにはなりにくくなっている。
本日のNY入り後は日本時間21時半に、その2つの責務の両方の経済指標が発表される。インフレ指標では8月の卸売物価指数(PPI)が発表され、雇用指標では前週分の新規失業保険申請件数と継続受給者数が発表される。通常ではPPIの方に市場の動意がつくことが多いが、今回は雇用指標への反応が大きくなるか。
PPIは前年比でヘッドラインが前回の2.2%から今回は1.8%への低下予想、コアは2.4%から2.5%への小幅上昇予想となっている。パウエル議長が述べたように概ね2%への軌道に乗っていることで、両結果が予想と大きなかい離がない限りは、雇用指標への市場の反応が大きくなりそうだ。
雇用指標は新規失業保険申請件数と継続受給者数ともに、前回を小幅ながら上回る予想となっている。ここ最近は、米金利低下・ドル売りのトレンドが明らかなこともあり、インフレ指標よりも雇用指標が悪化した場合には、ドル円は動意づきやすくなりそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円は、9日高値143.80円から日足一目均衡表・転換線143.96円が抵抗帯。
・想定レンジ下限
ドル円は、昨日米CPI発表後の安値141.25円近辺。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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