
また、欧州リスクセンチメントの強弱に敏感なユーロスイスフランの動向にも目を向けておきたい。先週末の金融市場で一気に強まったリスク回避ムードが、欧州市場にも持ち越される可能性が高いからだ。地政学リスクへの警戒感も緩めることはできない。週末にはイスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ全域に空爆したことが報じられ、またウクライナとロシアの戦争も激化したままだ。先週ユーロスイスフランは、0.93フラン台で約1カ月ぶりのフラン高を更新した。
なお今週は、11日に8月米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。米金利先安観が強まりつつある中でのインフレ指標のため、結果次第でユーロドルは神経質に上下しそうだ。ただメインイベントとしてはやはり、12日のECB定例理事会の政策金利の公表とその後のラガルドECB総裁の記者会見だろう。
ユーロ圏の4-6月期・妥結賃金上昇率が前年同期比3.6%と1-3月期の4.7%から大きく鈍化したことを受けて、市場ではECB理事会の利下げ決定がほぼ確実視されている。注目はラガルド総裁が、年内残りの10月と12月会合だけでなく、来年初めにかけての金利の道筋を示唆するかどうか。
想定レンジ上限
・ユーロドル、6日高値1.1155ドル
・ユーロスイスフラン、2日高値0.9446フラン
想定レンジ下限
・ユーロドル、3日安値1.1026ドル
・ユーロスイスフラン、8月7日安値0.9302フラン
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ