18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や6月米景気先行指標総合指数が予想を上回り、米10年債利回りが4.20%台まで上昇したことで、157.40円まで上昇した。ユーロドルは1.0894ドルまで下落。ユーロ円はドル円の上昇につれた買いで171.57円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、6月全国消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。
NBCニュースが、バイデン大統領に近い情報筋の話として、バイデン氏が大統領選からの撤退を発表しようとしていると伝えており、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
バイデン大統領が撤退した場合、トランプ前米大統領が勝利する可能性が高まることで、ドル安政策への警戒感が高まることになる。
昨日のドル円は、トランプ前米大統領のドル高けん制発言や河野デジタル相の円安けん制発言を受けたドル売り・円買いで155.38円まで下落したものの、155円という攻防の分岐点や一目均衡表・雲(155.49-83円)が支持帯となり、157円台までの買い戻しに繋がった。
トランプ前米大統領は、11月の米国大統領選で勝利する可能性が高まっているものの、現在は、米国大統領でもないことで、ドル安政策が打ち出される可能性は不確実であり、河野太郎デジタル相が円安是正のために日銀に政策金利を引き上げるよう求めたものの、日銀が利上げに踏み切る可能性も不確実である。
8時30分に発表される6月全国CPI(生鮮食品を除く総合)は前年比+2.7%と予想されており、5月の同比+2.5%からの伸び率上昇が見込まれている。
予想通りならば、月末30-31日に開催される日銀金融政策決定会合での国債買い入れ(6兆円:6月は約5.6兆円)の減額幅が半減となるような相当な額となり、河野デジタル相が円安是正のために日銀に要請した政策金利の追加利上げの可能性が高まることで、円高要因となる。
本日のドル円は、神田財務官の円買い介入ゾーン(157円~161円)と思われる157円台で推移してことで、円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
ドル売り・円買い介入が実施された水準は、4月29日の第1弾が159円台、第2弾が157円台、5月2日の早朝の第3弾が157円台、7月11日の第4弾が161円台、7月12日の第5弾が159円前後だと推測される。
月末に退官予定の神田財務官は「投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかない。投機によって円安になり、輸入物価が上がってしまい、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと」と、今後も介入を辞さない姿勢、介入の回数や頻度に制限はないとの認識を示している。
本邦通貨当局による円買い介入額は、4月29日と5月2日が9兆7885億円、7月11日が推定約3.5兆円、12日が推定2.1兆円なので、合計15.4兆円程度となる。
15.4兆円の介入金額は、日本の1-3月の名目国内総生産(GDP)597兆円の2.5%程度だが、市場では、米国財務省の外国為替報告書が為替操作国の基準にしているGDP比2.0%が介入の制約になるのではないか、との指摘があった。しかし、外国為替報告書は、対米貿易黒字を拡大させるドル買い・自国通貨売り介入を監視していることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、監視対象外である。
ちなみに、先日公表された外国為替報告書では、日本が監視リストに入ったが、理由は、2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことによる。
今年の1-6月の日本の対米貿易黒字は、3.9兆円となっており、昨年全体の8.3兆円に迫る可能性があるため、日本は引き続き対米貿易黒字を理由にした監視対象国のままで、トランプ第2次政権が誕生した場合、ドル安・円高の圧力がかかることが懸念される。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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