
東証プライムの売買代金は概算で3兆9800億円。業種別では保険、鉄鋼、パルプ・紙などが上昇した一方、鉱業、ゴム製品、証券・商品先物などが下落した。株主優待の導入を発表したナイスが後場急伸。半面、日本たばこ産業(JT)が権利落ちの影響もあって見た目の下げが大きくなった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり896/値下がり677と、日経平均が大幅安となった割には値上がり銘柄は多かった。米国で長期金利が上昇したことを受けて、三菱UFJやみずほFGなど銀行株が堅調。日立が3.7%高と動きの良さが目立った。上方修正と増配を発表した大阪有機化学が急伸。米国子会社の設立を発表したクオリプスがストップ高となり、サンバイオやセルシードもストップ高となるなど、バイオベンチャー株が人気化した。
一方、マイクロンの時間外の下落を嫌気して、ディスコ、レーザーテック、東京エレクトロン、SCREENなど半導体株が大幅安。米長期金利の上昇を嫌気して、三井不動産や三菱地所など不動産株が売りに押された。社長交代に関する日経記事を材料に東洋証券が大幅安。足元で騰勢を強めていたAHCグループが、ストップ高をつけた後にストップ安となるなど乱高下した。なお、セクターでは鉱業やゴム製品が弱かったが、INPEXやブリヂストンなど主力銘柄が12月決算銘柄で、権利落ちの影響を受けたことが大きかった。
本日、グロース市場に上場した豆蔵デジタルホールディングスは、初値は公開価格を小幅に上回る程度にとどまったが、場中の動きは強く、ストップ高で終えた。
日経平均は大幅安。ただ、プライムでは値上がり銘柄が多かったほか、グロース250指数が大幅高となるなど、下げ局面でも何かを買いたい意欲が強くなっていることは垣間見えた。米国で長期金利が上昇したにもかかわらず、グロース市場の銘柄をアグレッシブに物色する動きが見られたことは注目に値する。
米国では大統領選候補者のバイデン氏とトランプ氏がテレビ討論会を行う予定で、これが日本時間の午前10時、あすの取引時間中にスタートするとみられている。どちらの候補がマーケットから歓迎されているのかはっきりしないし、ここで優劣が色濃く出るとは限らないが、関連ニュースのヘッドラインに振らされる可能性がある点には注意したい。日経平均は週前半で大きく貯金を作った分、きょうのように下に振れると値幅が出てしまう展開も想定される。海外リスクや為替変動リスクを回避するという守りの視点と、直近で動きが良くなって値幅が期待できそうという攻めの視点の両面から、目先はグロース銘柄の相対優位性が高まる可能性がある。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ