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【見通し】週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、政局不安が重しに

◆豪ドル、インフレ再加速で堅調な動き
◆豪ドル、株安が継続すれば上値を抑えることに
◆ZAR、与党過半数割れで政局不安が重しに

予想レンジ
豪ドル円 103.00-107.00円
南ア・ランド円 8.00-8.60円

6月3日週の展望
 豪ドルは堅調な動きを予想する。今週発表された豪州の4月消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回った。昨年9月に5.6%だったインフレ率は、昨年12月には3.4%まで低下し、今年の1・2月は同水準で下げ止まった。そして、3月には3.5%、4月は3.6%まで上昇し、豪準備銀行(RBA)のインフレ目標レンジ(2-3%)への回復の道のりが再び遠ざかっている。6-7日に開催されたRBA理事会では、インフレリスクが高まっていることを踏まえ、利上げを検討していたことが明らかになったが、データ的にもインフレリスクが証明されたことで、豪金利の高止まりが豪ドルを支えることになるだろう。次回のRBA理事会は6月17-18日に予定されているが、今回までのインフレ動向を考慮してRBAがどのような判断を下すか注目される。

 豪ドルの上値を抑える要因としては株安があげられる。今月に入り米連邦準備理事会(FRB)高官によるインフレへの警戒発言が相次ぎ、米金利も高止まりしている。株価の下落傾向が継続した場合は、リスク回避に敏感な豪ドルの重しになるだろう。
 なお、来週は5日に1-3月期の国内総生産(GDP)、6日に4月貿易収支が発表される。GDPは昨年の1-3月期が2.3%だったものが、10-12月期には1.5%まで低下した。今年の1-3月期はさらに低下し1.2%予想となっている。また、隣国のニュージーランド(NZ)からは5日に政府による10カ月財政ステートメントが公表される。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重くなりそうだ。29日に行われた5年に1度の南ア総選挙では、与党アフリカ民族会議(ANC)の議席が、アパルトヘイト後はじめて過半数を割り込むことが決定的となった。正式な結果が公表されるのは6月2日になるが、その後14日以内に国会で大統領を選出しなければならない。現時点でのANCの獲得票率をみると、ANCが連立を組む相手を探すのに非常に苦心する可能性が高く、政局不安がZARの重しになる。

 なお、来週は南アから4日に1-3月期GDP、6日に同期の経常収支が発表される。また、5日には4-6月期の南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感が発表予定。

5月27日週の回顧
 豪ドルは対円では一時4月29日つけた11年ぶりの高値に接近したが、週後半にドル円の調整売りが入ると徐々に上値が切り下がった。対ドルでは0.66ドル台を中心としたレンジ取引となった。CPI発表後に豪ドルが強含む場面もあったが、株安が重しになった。
 ZARは、週前半は堅調地合いを維持したが、総選挙で与党の獲得票が伸び悩むと一転下落した。対円では8.60円台を頭に8.30円台まで弱含んだ。なお、南アフリカ準備銀行(SARB)は政策金利を据え置き、SARBの目標バンドの中間値に達するのは来年4-6月期との予測を公表した。(了)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ