◆ドル円、米利下げと据え置き観測が均衡で材料次第
◆ドル円、日銀の早期利上げ観測徐々に高まる
◆ユーロドル、ECB声明や総裁発言に注目
予想レンジ
ドル円 154.00-160.00円
ユーロドル 1.0600-1.1000ドル
6月3日週の展望
ドル円は、日米の金利見通しに対する思惑から神経質な展開が想定される。米国の金利見通しについては、9月に利下げが行われるとの予想が出ているが、据え置き予想と均衡している。また、12月についても同様であり、最大では年内2回の利下げがあり得るものの、今年は金利が据え置かれる可能性も残されている状況。今後の材料次第となっており、ドルが上下どちらに向かうかを予想することは難しいだろう。
なお、来週は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の前週となるため、米当局者が金融政策について発言できないブラックアウト期間に入る。要人発言が見込めないため、材料としては経済指標に焦点が向かうと思われる。6月3日には5月サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数、6月4日に4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、6月5日に5月ADP全米雇用報告や5月ISM非製造業指数、そして週末の6月7日には5月雇用統計が予定されている。特に雇用統計の結果次第では米金利の先行きに対する思惑に変化が生じる可能性があるだろう。
また、日本の金利見通しについては、内田日銀副総裁が27日に「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉が視野に。今回こそはこれまでと違う」、安達審議委員も29日に「円安の加速・長期化によって消費者物価が早期に再上昇するなら、利上げのペースを速めることもあり得る」と発言したことで国内債券市場では長期金利が2011年7月以来の水準まで上昇するなど、日銀の早期利上げ期待が高まっている。為替市場の反応は現時点では鈍いものの、6月13-14日の決定会合に向けて思惑的な円買いが出る可能性がある点には注意したいところだ。
ユーロドルは、6月6日の欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表に注目が集まる。今回0.25%の利下げを実施することは織り込み済だが、注目は声明やラガルドECB総裁の定例記者会見となる。7月以降の金利見通しについては不透明感が高く、声明内容や発言次第ではユーロの方向性を決めるきっかけとなる可能性がある。
5月27日週の回顧
ドル円は、156円台後半でのもみ合いが続いていたが、本邦実需勢の買いが観測されると157円台に乗せた。米長期金利が上昇すると29日のNY市場では157.71円まで値を上げたものの、1-3月期米個人消費支出(PCE)コア価格指数・改定値が予想を下回ると米金利低下とともに一時156.38円まで失速した。
ユーロドルは週半ばに1.0889ドルまで上げたが、米金利上昇でドル高が加速すると1.0788ドルまで一転下落。一方、その後は米金利低下に伴って1.08ドル台半ばまで持ち直すなど、総じて方向感が定まらなかった。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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