「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
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今日のドル円 テクニカル分析で環境認識(動画の内容 ポイントまとめ)
■ドル円の現状と今後の見通し
現在、ドル円は上昇トレンドが継続しており、60分足チャートを見ると、先日のアメリカのCPI(消費者物価指数)と小売売上高の結果を受けて、一時的に153円台半ばまで下落したものの、その後は力強く反発し、156円台が視野に入ってきている。目先は156円70銭台の戻り高値を意識しつつ、さらにその上には157円台が控えている。
日足チャートでは、昨日の下ひげの長い陽線と、終値ベースでの155円の突破から、底打ちを示唆するシグナルが出ている。加えて、10日移動平均線と20日移動平均線がゴールデンクロスに近づいており、RSIも70ラインを上抜けて上昇しているため、短期的にも上昇の勢いが増していると判断できる。
フィボナッチリトレースメントを160円の高値と151円の安値に適用すると、38.2%戻しが155円、50%戻しが156円、61.8%戻しが157円に位置しており、これらの節目が重要な水準として意識されている。
ただし、157円台に入ると、ゴールデンウィーク中に為替介入があったとされるレベルに差し掛かるため、神経質な値動きになる可能性がある。イエレン財務長官が介入に対して牽制とも取れる発言を3度にわたって行っているものの、実際に介入があったとみられる水準であるだけに、慎重な取引が求められるだろう。
来週以降の見通しとしては、157円を突破し、158円台に乗せることができれば、160円までの間に目立った壁がない「真空地帯」に突入することになる。直近の上昇局面では、158円台を突破した後、一気に160円まで駆け上がる動きが見られたことから、同様の展開が予想される。
ただし、急速な円安の進行は為替介入を誘発するリスクもはらんでいる。その場合、上値が抑えられ、神経質な値動きにつながる恐れがある。
■FX初心者向けの解説
円安の理由
日米の金利差が影響しており、2022年3月からアメリカが利上げを開始したことで金利差が拡大し、円売り・ドル買いの需要が高まった。
主要テーマ
日銀の追加利上げ時期(早くても7月か9月と予想)
アメリカの利下げ開始時期(早くて9月、年内2回と予想)
特にアメリカの利下げ開始時期が焦点で、これを探るために雇用統計やインフレ指標(消費者物価指数)が重要視される。
■注目イベント
今夜はFRB高官の発言、特に利下げに対する見解が注目される。
5月19日(日本時間20日早朝)のパウエル議長講演は東京市場の取引時間外のため、週明け月曜日の値動きに影響する可能性がある。
来週は22日のFOMC議事録が最も重要。その他、FRB高官の発言や日銀の国債買入れオペ(減額されるかどうか)などにも注意が必要。
総じて、ドル円は上昇基調が継続しており、真空地帯への突入の可能性もある。ただし、為替介入への警戒感から神経質な値動きになることも考えられる。FX初心者は、金利差の影響と、利上げ・利下げ時期を探るために重要視されるイベントを理解することが大切。今後の重要イベントにも注意しながら、相場に臨むことが求められる。
『最新のドル/円相場を解説』
『日曜日にFX基礎内容のライブ配信』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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