19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、154円台半ば(154.46円~154.65円)でのレンジ取引に終始した。ユーロドルは中東情勢への警戒感が後退したことで1.0677ドルまで買い戻された。ユーロ円も165.03円まで反発したが、上値も抑えられ164円後半まで戻して引けた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、25-26日に開催される日銀金融政策決定会合や中東情勢への警戒感などから上値が重い展開が予想される。
もし155円のノックアウト・オプションへの買い仕掛けが行われた場合は、防戦売りとの攻防戦や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性が高まることで警戒しておきたい。
先週のG7会議では従来の為替声明が確認されたに留まり、G20会議では、ドル高に関する議論はなかったと報じられている。しかし、19日に開催された国際通貨金融委員会では、鈴木財務相と植田日銀総裁が出席し、円安進行を念頭に、外国為替相場の行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取るとの意見を表明した。そして、声明では「為替市場を含めた金融市場における変動の高まり」を指摘し、「過度な変動は望ましくない」との見解が示されており、円安進行時の円買い介入への警戒感を高めている。
神田財務官は、円買い介入の大義名分として、投機筋による円売りとボラティリティーの拡大を挙げていた。
4月16日時点のIMM通貨先物の投機筋の円売り持ちネットポジションは、165619枚(x1250万円=約2兆円)と、2007年6月26日以来(188077枚)17年ぶりの高水準となっている。
ボラティリティー増大を示唆するボリンジャー・バンド+2σは155.15円付近にあり、神田ライン(※過去28日間の安値から10円上昇した水準)は157.42円にある。ドル円の上昇チャネルの本日の上限は156.91円にある。
2022年10月の円買い介入は、12-13日のG20会議の後、21日と24日に覆面介入が実施されている。
先週19日の市場は、イスラエルによるイランの核施設へのミサイル攻撃、という米系メディアによる報道を受けて、地政学リスク回避の株売り・円買いとなったが、イランが反撃に慎重なスタンスを示したことで、中東情勢への警戒感はやや和らいでいる。
しかしながら、中東情勢は予断を許さない状況が続いていることで、今後も関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
イスラエルとイランの軍事衝突による中東の地政学リスク回避の動きが強まった場合、先週金曜日のようにIMM通貨先物の円売り持ちポジションの手仕舞いなどに繋がることで、リスク回避の円買い要因となる。しかしながら、第5次中東戦争などに拡大した場合は、原油価格の上昇により円安要因となる。
日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が先週ワシントンでのG20財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と述べていることで、やや警戒感が高まっている。また、関係筋の話として、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2024年度のコアCPI見通しを1月の2.4%から引き上げることを検討する可能性が報じられており、要注目となる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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