2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ユーロドルの上昇を受けたドル売りで一時151.47円まで値を下げたものの、米10年債利回りが一時4.4032%前後まで上昇したことで下値は限定的だった。ユーロドルは独長期金利の大幅上昇などを背景に1.0779ドルまで上昇した。ユーロ円は一時163.33円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、これまでと同様に152円のノックアウトオプションへの買い仕掛けと防戦売り、そして本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
昨日は、タカ派のデイリー米サンフランシスコ連銀総裁とメスター米クリーブランド連銀総裁が、年内3回の利下げを想定しつつも、パウエルFRB議長と同様に早期の利下げ開始には否定的な見解を示した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と見込まれている。そして、年内3回の利下げ(x0.25%=0.75%)で、12月時点のFF金利誘導目標は4.50-75%となっており、米連邦準備理事会(FRB)のドット・プロット(金利予測分布図)と整合的となっている。
昨日のドル円は151.80円まで上昇したものの、152円のノックアウトオプションの防戦売りが上値を抑えて伸び悩んだ。また、ドル円を買い進んでいる投機筋は、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に備えて、ドルプットオプションを購入している模様で、ヘッジのドル売りも上値を抑える要因となっている。
ドル円は、先週、1990年以来の高値となる151.97円まで上昇した後、三者会合(財務省・日銀・金融庁)が開催され、神田財務官が為替介入について「常に準備はできている」と述べたことで、円買い介入への警戒感が高まっている。神田財務官は、日銀が大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」とも述べている。
2022年9月22日のドル売り・円買い介入の前も、9月7日に144.99円まで上昇した後の9月8日に三者会合が開催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していた。おそらく、145円台に乗せた場合には円買い介入を行うことが話し合われ、22日の145円台乗せでの円買い介入となったことが推測できるため、今回も152円台に乗せた場合の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
ドル円が152円台に乗せるきっかけとしては、5日金曜日に発表される米3月雇用統計が堅調な雇用市場を示した場合が想定される。
そして、152円のノックアウトをヒットしたタイミングで、本邦通貨当局が大規模な円買い介入に踏み切り、145円方向に反落するパターンがシナリオ1となる。
この場合、投機筋が円高ヘッジ目的に仕込んでいるドルプットオプションが機能してくることになる。
シナリオ2としては、市場で噂されているように、本邦通貨当局の円安防戦ラインが152円ではなく155円付近に引き上げられて円買い介入が見送られるパターンとなる。
この場合のドル円は本邦通貨当局の防戦ラインを模索しながら、来週10日に発表される米3月消費者物価指数を見極めることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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