◆ドル円、円先安観根強く底堅い動きが続く
◆各国金融政策発表を通過し、経済指標に再び焦点集まる
◆ユーロドル、利下げ観測の高まりから上値重い
予想レンジ
ドル円 148.50-155.00円
ユーロドル 1.0550-1.1000ドル
3月25日週の展望
ドル円は、日銀が緩和的な金融環境を継続するとの見方が広がっているほか、相対的にドル先高観が意識されていることもあり、底堅く推移しそうだ。
日銀は18-19日に開いた金融政策決定会合でマイナス金利やイールドカーブコントロール(YCC)など異次元の大規模緩和を終了させることを決定した。ただ、声明や植田日銀総裁の記者会見では「当面、緩和的な金融環境が継続する」と強調したことで、海外勢を中心に「日銀が継続的に利上げをする可能性は低い」との見方を強め、結果公表後の円安を招いた。「日銀が7月か10月にも利上げを検討する」との一部報道が伝わったものの、円安トレンドが変わらなかったことを鑑みると、市場の円先安観は一段と高まっていると判断できる。
また、ドル先高観が高まっていることもドル円の下支え要因となるだろう。19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利見通しで年内3回の利下げが据え置かれると、市場では「年内2回の利下げ予想に変更されるのでは」との思惑もあっただけに発表後はドル安となった。ただ、前回まで0.25%利上げを主張していた2人のメンバーが据え置きを主張した英中銀(BOE)、唐突な利下げを発表したスイス中銀(SNB)の動向を受けて、欧州中央銀行(ECB)も「早ければ次回4月に利下げを実施しやすくなったのでは」との思惑が浮上。欧州通貨の下落リスクの高まりから相対的にドルが上昇しやすい状況となっている。
各国の金融政策発表を通過して、今後はそれぞれの経済指標に焦点が向けられることが想定される。来週、米国では26日に3月消費者信頼感指数、28日に10-12月期GDP確定値、29日に2月PCEコアデフレーターなどが発表される。結果を受けた米長期金利の動向に注目したい。
なお、ドル円は1990年以来の高値水準に接近しているとあって、政府・日銀による介入警戒感が台頭している点については留意する必要があるだろう。
ユーロドルは、BOEやSNBから相次いでハト派的な姿勢が示されたことでECBの早期利下げ観測が高まっており、上値の重い展開が想定される。ECBメンバーからのハト派的な発言には敏感に反応する可能性が高いため、要人発言などには注目したい。
3月18日週の回顧
ドル円は日銀の金融政策発表後から買いが優勢となり、20日には一時151.82円と年初来高値を更新した。日銀の追加利上げに関する観測記事が伝わると、本邦当局の円安けん制発言もあり150.27円まで失速する場面があったが、その後は再び高値付近まで持ち直している。
ユーロドルは週前半に一時1.0835ドルまで下落したが、FOMC後にドル安が進んだ場面では1.0943ドルまで反発。ただ、その後は全般ドルが買い戻されると1.0856ドルまで失速した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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