4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.23%台まで上昇したことで150.57円まで上昇した。ユーロドルは、ユーロ豪ドルやユーロNZドルなどのユーロクロスの上昇につれた買いが入り、1.0867ドルまで上昇した。ユーロ円は全般ユーロ買いが進んだ流れに沿って163.52円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を背景に堅調推移が予想される中、先週末2日に報じられた政府のデフレ脱却宣言報道に対する植田日銀総裁の見解に注目する展開となる。
8時30分に発表される2月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.5%と予想されており、1月の同比+1.6%からの上昇が見込まれている。
1月の全国コアCPIは前年比+2.0%だったが、昨年2月以来、物価の押し下げ要因となっていた政府の電気・ガス代負担軽減策の影響が一巡することから、2月のコアCPIは2%台後半になると予想されている。
2月の全国コアCPIの先行指標となる2月東京都区部CPIが予想通り、あるいは予想を上回った場合、日銀の早期の金融政策正常化の可能性を高める要因となる。
先週のドル円は、ハト派の高田日銀審議委員のややタカ派的な発言「出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要」を受けて、149円台まで下落したものの、植田日銀総裁のハト派発言「現時点で達成が見通せる状況ではない」を受けて150円台を回復した。
その後、先週末2日の報道では、政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入ったことが報じられた。政府は日本経済がデフレにあるとの見解を2001年3月の月例経済報告に併せて公表した資料で「緩やかなデフレにある」と示していたが、デフレ脱却を表明すれば、23年間にわたり安定成長を妨げてきた足枷が外れたと認めることになる。
植田日銀総裁は、2月22日に衆議院予算委員会に出席し、「消費者物価は去年までと同じような右上がりの動きが続くと予想している。そういう意味でデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と述べた。そして、「労働需給が引き締まるもとで、企業の賃金設定行動も従来より積極的な動きが見られている。こうした動きが続くもとで雇用賃金が増加する中で物価も緩やかに上昇する好循環が強まっていく」と述べた。
植田日銀総裁の2月22日の発言と2日の報道は整合的であり、本日の13時からの講演での見解に注目しておきたい。
3月13日に春闘の集中回答日があり、15日には内容が公表される予定となっており、賃上げの状況を確認した後の18-19日に日銀金融政策決定会合が開催される。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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