7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は147.63円を底に148円前半まで強含んで終えた。米長期金利の上下に振らされる展開だった。ユーロは対ドルで一時1.0784ドル、対円では159.73円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は内田日銀副総裁の発言を見極めて行く展開が予想される。また、時間外ではあるが米10年債利回りの動向も注視したい。
内田日銀副総裁は、本日、奈良市で、午前10時半からの金融経済懇談会の冒頭で挨拶し、午後2時半から記者会見が予定されている。
1月の日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が、基調的な物価上昇率が2%目標に向けて徐々に高まっていく確度は「少しずつ高まっている」との認識を示した。同会合の「主な意見」でも「賃上げが高めの水準で着地する蓋然性が高まっている」といった政策修正に向けた前向きな意見が相次いでいたことで、内田副総裁の「確度」に対する見解に要注目となる。
植田総裁は1月23日の日銀会合後の会見で、「円安による輸入物価や海外の物価高が波及する『第1の力』は継続しつつもピークを過ぎたと判断している。賃金と物価がともに上昇する『第2の力』は引き続きゆっくり上昇を続けている」と述べていた。
6日に発表された昨年12月の毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比1.9%減と21カ月連続のマイナスとなったが、減少率は2カ月ぶりに縮小していた。名目賃金は1.0%増と24カ月連続でプラスとなり、実質賃金の改善に寄与していた。
市場では、第1の力が減衰し、第2の力が物価を押し上げる状況になり、デフレ脱却に道筋がつく4月の日銀金融政策決定会合で、マイナス金利解除を含む政策修正が行われるとの見方が強まりつつある。
なお10時30分には、1月中国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表予定。市場予想はCPIが前年比-0.5%と前回-0.3%から伸び率低下、PPIは-2.6%と前回-2.7%から若干の改善が見込まれている。中国の不動産バブル崩壊への警戒感が広がる中、国内の需要不足や過剰生産能力を背景とした「デフレ輸出」への懸念が高まりつつある。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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