8日の日経平均は大幅続落。終値は550円安の32307円。米国株は上昇したが、植田日銀総裁を発言を受けてドル円が大きく円高に振れたことが警戒材料となり、寄り付きから200円を超える下落。為替感応度の高い自動車関連が厳しい下げとなって他の多くの銘柄にも売りが波及し、リスクオフの様相が強まった。前場のうちに下げ幅を500円超に拡大。本日の米国では為替を刺激しやすい11月雇用統計の発表が控えていたことから、終盤には600円超下げる場面もあった。32200円台で売りが一巡して引けにかけては32300円台まで戻したものの、連日で500円を超える下落となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆8400億円。メジャーSQ日で商いは膨らんだ。業種別ではプラスは空運、銀行、パルプ・紙の3業種のみで、輸送用機器、ゴム製品、鉱業などが大きく下落した。ロームが6%を超える大幅上昇。経産省の補助を受けて、東芝とパワー半導体の共同生産を始めると伝わったことが買い材料となった。半面、上期の利益は計画を上振れたものの、売上高は計画を若干下振れたビューティガレージが急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり230/値下がり1408。日銀が早期に政策を修正するのではとの思惑から、三菱UFJや三井住友など銀行株が上昇。円高メリット銘柄としてニトリHDや神戸物産など小売の一角に資金が向かった。円高は日本人の海外旅行需要を刺激するとの見方から、オープンドアやアドベンチャーなど旅行関連が買いを集めた。証券会社のリポートを材料にLINEヤフーやゆうちょが大幅高。第一生命HDが対抗TOBを表明したことでベネフィットワンがストップ高となり、TOB価格引き上げ期待からパソナGがストップ高比例配分となった。
一方、円高進行への警戒からトヨタが4%を超える下落。売買代金はレーザーテックに次ぐ2位と注目を大きく集めた。デンソーや豊田織機など自動車部品関連や、ブリヂストンや横浜ゴムなどタイヤ株も軒並み下落。日本製鉄や神戸鋼など鉄鋼株も幅広く売りに押された。日銀の金融政策修正に対する警戒から、三井不動産や三菱地所など不動産株が軟調。INPEX、川崎汽船、三井物産、双日など市況関連に大きく下げる銘柄が散見された。ベネワンへのTOBを表明しているエムスリーは、横やりが入ったことで5%近い下落となった。
日経平均は大幅安。参院財政金融委員会での植田総裁の発言がドル円を大きく刺激し、日本株はそれに対して大きく動揺した。その手前で日本株は、米国株が落ち着いている割には非常に不安定な動きを見せていた。そしてその一番の要因は為替であった。これらを踏まえると非常に良くないタイミングでの発言で、かつ、「チャレンジング」という単語も悪目立ちした。
もし、総裁が早期のマイナス金利政策解除などは考えていないということであれば、日銀会合前に自身の発言かメディアを活用するなどして、「今回の発言を誤解しないでね」という旨のメッセージを市場に届けるだろう。一方、何も出てこなければ、「早期の金融政策変更を意識してもらって結構、市場もその準備をしておいてね」ということになる。日銀が政策を修正・変更すれば一段の円高が予想され、なくてもそれだけで円安とはなりづらい。自動車株など円安メリット銘柄は、しばらくは敬遠される部類に入ると思われる。為替の影響が小さい銘柄や、円高がプラスになる銘柄の買い安心感が高まってくるだろう。
【来週の見通し】
軟調か。イベントとしては12日~13日のFOMCと14日のECB理事会が注目される。ただ、今週、植田日銀総裁の発言を受けてドル円の動きが荒くなったことから、日本株を見る上では、翌週の日銀金融政策決定会合(18日~19日)が強く意識される。米国に関しては今回は政策金利の据え置きが濃厚で、サプライズを予想する見方は少ない。無難に消化できれば、米国の長期金利は低下して米国株は上昇する公算が大きい。ただ、その場合、為替市場では円高(ドル安)が進みやすくなる。現状では日本株の値動きだけが不安定となっているだけに、外部環境次第ではリバウンド狙いの買いは入るとみる。ただし、日銀会合を前にしては、上がれば戻り売り、上がらなくてもリスク回避の売りが出てきやすい。弱材料に対するネガティブな反応が大きい週になると予想する。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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