8日のニューヨーク外国為替市場では、日本と米欧金利差に着目した円売りが優勢となり、ドル円は151.06円、ユーロ円は2008年8月以来の高値となる161.73円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の低下幅拡大を受けて1.0716ドルまで持ち直した。
ドル円は、神田財務官が1日に「介入スタンバイ」と述べた151円台に乗せてきた。本日の東京外国為替市場では、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の本気度を見極める展開が予想される。
米長中期債の利回りは低下し、原油価格も大幅に下落している中でもドル円はしっかりした値動きが続いている。本邦実需筋のドル買いが151円台まで押し上げる要因と言われているが、市場は本邦通貨当局の出方を試しているのかもしれない。
神田財務官は今月1日、ドル円が151円台で推移していた時に「過度な変動にはあらゆる手段を排除せず適切な行動をとる」と発言。介入に関しては「スタンバイ」と述べていた。その日のドル円は、151.68円を高値に150.66円の安値まで下落した。
ドル円は、10月31日の年初来高値151.72円、1日の151.68円に続いて、昨日8日は151.06円まで上昇。ここからは、円買い介入が実施される円安防衛水準が151円台なのか否かを見定めることになる。
なお、昨日発表された10月末の外貨準備高は1兆2380億ドル、外貨は1兆1070億ドルだった。円買い介入の原資である外国為替資金特別会計の持ち値は100円程度と試算されており、150円台での評価益、いわゆる埋蔵金は50兆円規模だ。
一方、投機筋による「円キャリー取引」(低金利の円を調達し、高金利のドルで運用する取引)は、年初来で20%以上のリターンをもたらしていると一部で報じられた。
昨年秋の円買い介入はボラティリティー抑制を名目として実施され、ドル円の動向は以下の通り。ボリンジャー・バンド+2σ付近から一目均衡表・基準線付近まで下落した。現時点の+2σは151.39円付近、基準線は149.95円となっている。
■9月22日の第1弾の円買い介入(2兆8382億円)東京午後17時30分過ぎ
・下落幅(▲5.54円):高値145.90円から安値140.36円
・+2σ:146.12円、基準線:140.28円
■10月21日の第2弾の円買い介入(5兆6202億円)東京午後23時30分過ぎ
・下落幅(▲5.72円):高値151.95円から安値146.23円
・+2σ:150.39円、基準線:146.16円
■10月24日の第3弾の円買い介入(7296億円)東京午前8時30分過ぎ
・下落幅(▲4.15円):高値149.71円から安値145.56円
・+2σ:150.69円、基準線:146.16円
10時30分に発表される10月中国消費者物価指数(CPI)の予想は前年比-0.1%で、9月±0.0%から低下。生産者物価指数(PPI)の予想は、前年比-2.7%で9月-2.5%から減速が見込まれている。中国経済は、不動産セクターの減速によるデフレ圧力が続いており、リスク回避要因として警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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