
本日のドル円は、アジア時間では東京市場が文化の日で休場ということや、NY入り後に10月米雇用統計の発表を控えて大きな動きを期待するのは難しそうだ。
昨日、政府が発表した17兆円台に上る総合経済対策については、これまで伝わってきた通りでサプライズは無く、すでに多くの報道で批判にさらされている。対策は、物価高の要因である長期に渡る超低金利や円高対策が講じられず、物価上昇を抑制する抜本策も織り込まれなかった。
物価対策とされているものは、上昇による悪影響を時限的にやや緩めるだけと批判されている。エネルギー価格の上昇に対して一定期間の補助が出るものの、消費量減少や根本的な価格上昇を抑えるものではない。また消費量も変わらないことで、貿易赤字拡大により更なる円安を懸念する声もある。よって、円安の流れを止めることが出来るのは「実弾介入のみ」が再確認される状況だ。
本日は東京市場が祝日で休場とはいえ、過度な円安には円買い・ドル売り介入が行われる可能性は残る。そのため、邦銀だけでなく外銀も含めた金融機関は臨戦態勢で臨んでいるもよう。アジア時間で急激な円安が進むようなイベントは無いものの、本日発表される米経済指標が強いものになり、ドル円が先月31日に付けた高値151.72円や、昨年10月に付けた1990年以来の高値151.95円を超えた場合には介入が行われる可能性は非常に高い。
米雇用統計の発表を控え、アジア時間で円以外の通貨も大きな動きを期待するのは難しいが、経済指標では10月のCaixin中国サービス部門購買担当者景気指数には注目しておきたい。統計局とCaixinが発表した10月の製造業PMIは、いずれも景気判断の分岐点とされる50を下回った。昨日は米株が続伸しているが、製造業に続きサービス部門PMIも弱い結果となれば中国経済の先行き懸念が高まり、株高に水が差されるかもしれない。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ