29日の日経平均は小幅続落。終値は14円安の31857円。米国株高を受けて、寄り付きは3桁の上昇。節目の32000円を上回った。しかし、すぐに上値が重くなって失速すると、ほどなくマイナス圏に沈んだ。米長期金利低下を受けて半導体株などグロース株には資金が向かったが、一方でバリュー系の銘柄に大きく売られる銘柄が多く、全体では手がけづらさが意識された。ただ、失速しても下げ幅を3桁に広げると下値が堅くなった。前引け間際や大引け間際には押し目買いが入ったことで時折プラス圏に浮上しており、大きくは崩れず。結局、小幅な下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9100億円。リバランス需要の発生で商いは膨らんだ。業種別ではプラスはその他製品と精密機器の2業種のみで、電気機器が小幅な下落。海運、鉄鋼、鉱業など市況系の業種の下げが大きかった。3Q決算が好感されたキユーソー流通システムが急伸。半面、昼休みに豪州の出資先炭鉱からの配当金を受領することを発表した住石ホールディングスは、後場に一時プラス圏に浮上したものの、市況関連にアゲインストの地合いの中で材料出尽くし感が意識され、引けでは16.1%安と暴落。ストップ安まで売られる場面もあった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり429/値下がり1360。米国の長期金利低下を好感して、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコなど半導体株が強い動きを見せた。指数寄与度の大きいファーストリテイリングとソフトバンクGが上昇。上方修正を発表したJCRファーマや、9月度の月次が良好であったアスクルが買いを集めた。全市場の売買代金ランキングでは、10月2日から日経平均採用銘柄となるレーザーテック(1位)、ニトリHD(2位)、メルカリ(5位)が上位を占めたが、その中でメルカリがプラスで終えた。
半面、商船三井、川崎汽船、日本郵船の海運大手3社が大幅安。日本製鉄や神戸鋼など鉄鋼株が軒並み安となった。米金利低下を受けて三菱UFJや三井住友など銀行株が軟調。原油安を受けてINPEXや富士石油が売りに押された。上昇基調が続いていた中部電や関西電など電力株の多くが値幅を伴った下げとなったほか、日立やパナソニックなど総合電機の一角の弱さが目立った。通期の見通しを引き下げたメドレックスは、場中に値が付かずストップ安比例配分となった。
日経平均は上げ下げあったが、終わってみれば横ばい程度。ただ、物色に関しては売られた方の銘柄のインパクトがかなり大きかった。構図としては、米金利低下を受けたバリュー株の利益確定売りのように見える。ただ、バリュー株という位置づけではない日立やパナソニックなども大きく下げており、中期で右肩上がりで推移していた銘柄が嫌われている。きょう大きく下げた銘柄の中には、9月に年初来高値を更新しながら月間でマイナスとなったものもいくつかある。物色のトレンドが変わった可能性もあるだけに、来週、どういった業態に強い動きが見られるかは要注目。長期金利低下からのグロース株復活といったシナリオも十分考えられる。
【来週の見通し】
堅調か。10月相場に突入し、金曜6日には米国で雇用統計が発表される。基本的には雇用統計を前に様子見姿勢の強い週となるだろう。米国では雇用統計の前にも注目度の高い指標の発表が多く、米長期金利の動向には引き続き神経質になると思われる。ただ、直近の米10年債利回りの上昇ペースがかなり急であったことから、指標が金利の低下要因となる展開にも期待が持てる。金利が低下しない場合には、今週強く売られたバリュー株に見直し余地が出てくる。今週の日本株は月末で需給要因に振り回された感がある。その分、来週は買いを手控えていた投資家からの資金が入りやすいとみる。中身を消化するのは翌週になるが、6日には安川電機が決算を発表予定で、業績相場入りも意識される。下値が堅くなることで、週を通しては水準を切り上げると予想する。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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