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【市場概況】東京為替見通し=東京休場で動きは限定的か、今週は複数の重要イベント発表で大相場も

海外市場では、東京時間に伝わった「植田日銀総裁の発言と市場解釈にギャップがある。日銀の認識はほぼ変わっていない」との一部報道が意識される中、米10年債利回りが4.33%台まで上昇すると円売り・ドル買いが優勢となり一時147.95円と昨年11月4日以来約10カ月ぶりの高値を更新した。ユーロドルはラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「利下げは議論していない」と述べたほか、「金利についてはデータ次第」と改めて強調したことも買い戻しを促し、23時過ぎに一時1.0688ドルと日通し高値を付けた。ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。

 本日のドル円は、東京市場が敬老の日で休場ということもあり、値動きは限定的となるか。また、他のオセアニア・アジア諸国からも主だった経済指標の発表等も予定されていないことや、今週は大きなイベントが多数予定されていることも、値幅を伴った取引を期待することが難しい要因になる。
 
 限定的な値動きと予想される中で、アジア時間にドル円を動意づけるのは連日元高に設定されている中国人民銀行が公表する人民元取引の基準値となる。日銀も防衛ラインが148円台とのうわさも流れる中で、中国が積極的に元安を阻止することで、オフショア市場で人民元(CNH)は対円で年初来高値を更新している。円の独歩安となることを懸念し、元安阻止の動きが円安にも影響を及ぼすかを確かめる必要がありそうだ。

 なお、今週は明日19日から米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まり、翌20日政策金利を発表、また四半期に一度のFOMCの経済・金利見通し(ドットチャート)も公表される。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、先週末時点でも金利据え置きが98%となり、政策金利についてはサプライズを期待するのは難しい。一方で。ドットチャートがどの程度6月発表と変化があるかに注目が集まる。

 21日からは日銀の政策決定会合が開かれ、翌22日には政策金利が発表される。これまでは9日付の読売新聞の植田日銀総裁へのインタビュー「マイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプション(選択肢)がある」との記事で、市場は本邦金利が上昇し、円買い意欲が強まった。しかし、先週末の日銀関係者の記事で「発言と解釈にギャップ」との記事で、再び政策や見解の変更期待が後退しつつある。市場関係者の間では、市場との対話が全く取れていないとの声があり、これまで以上に日銀の見解次第で22日には円買い・円売りどちらにも大きく反応する可能性が高まってしまっている状況だ。

 なお、米連邦準備理事会(FRB)と日銀以外にも、20日は中国が1年物と5年以上物の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を発表。21日にはスイス中銀とイングランド銀行(英中銀・BOE)も政策金利を発表予定となり、今週は様々な通貨が大相場となるかもしれない。

(松井)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ