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FX/為替予想「中国経済指標の発表延期を考慮した人民元トレード戦略」プロが解説 人民元見通し 戸田裕大

人民元見通し

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、日本では情報の少ない人民元について、報道や公表データ、現地の報告などをもとに、相場の見通しを立てていきます。中国の金融経済が世界の金融市場に与える影響は年々大きくなっていますので、人民元や他通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第16回は「中国経済指標の発表延期を考慮した人民元トレード戦略」といたしまして、相場見通しとトレード戦略をお伝えいたします。

目次

1.人民元相場の定点観測
2.中国経済指標の発表が延期された意図を読みとく
3.対ドル、対円ともに買いからエントリー

1.人民元相場の定点観測

まずは簡単に直近の人民元の動きを振り返っていきます。

人民元相場の変化
出所:Investing.com

USD/CNH相場ですが、前回の寄稿時(2022年9月19日)と比べて1,862Pips上昇しました。ドル高、人民元安が進んでおり、現在の通貨制度である「管理変動相場制」へと移行して以後の最高値である7.1963を超えて、さらなる高値更新を試している状況です。

主因はドル高ですが、それに加えて景気対策としての人民元金利引き下げが大きな要因です。目先はドルに対して人民元を買う材料に乏しく、しばらくはこの傾向が続くと見ておいた方が無難でしょう。

CNH/JPYは前回の寄稿時と比べて0.20円、上昇しました。人民元は米ドルに対して下落しているのですが、それ以上に日本円が下落しているので、CNH/JPYでは人民元が上昇しています。こちらは過去最高値が2022年9月14日につけた20.76円であり、再度、目前にまで迫っている状況です。

鍵を握っているのはドル/円相場です。ドル/円が底堅く推移している限りにおいては、ドルとの連動性を一定程度考慮するCNH/JPYも底堅く推移するでしょう。

2.中国経済指標の発表が延期された意図を読みとく

2022年10月18日に発表予定であった中国の第三四半期のGDP、9月小売売上高、鉱工業生産など各種の経済指標に対して公表延期の措置がとられました。現在、中国では日本の国会に相当する「全人代」が開催されており、このイベントに配慮したと言われています。

なぜ配慮する必要があったのか?と考えると、おそらくは指標の中身があまり良くないのだろうと思います。ゼロコロナ政策を続けていますので、経済成長が芳しくなく、事前予想は前期比で+3.5%成長となっていますが、もっと悪いか、最悪は2四半期連続のマイナス成長となっているのかも知れません。

中国株安も人民元安も進んでいますので、悪いGDPを発表して、現政権に対する不満がこれ以上高まらないように、配慮した可能性が高そうです。となると、これら延期になった指標がまとめて発表される際には、警戒しておく必要がありそうです(発表時期は未定)。数値をお化粧して上振れ・・・という可能性もありますが、そこまではしないと信じたいところです。

なお中国の短期金利はようやく下げ止まりの兆候を見せてきましたが、米金利の上昇ペースが早いため、現時点において米中金利差は引き続き拡大方向に動いており、これが基本的なドル高、人民元安方向への動力となっています。

米中の金利差(中国3カ月物・米国3カ月物)
出所:Investing.com, Iborate.com

3.対ドル、対円ともに買いからエントリー

対ドルは買い持ちで攻めたいと思います。歴史的な高値を更新中ですし、ドル金利の方が高いですので、よほどドル売りの材料が出てこない限りはドル買いからエントリーするのが望ましいと考えます。

USD/CNH 4時間足
USD/CNH 4時間足チャート 直近までは7.1963および7.0972がチャートポイント
出所:Investing.com

この際、押し目の基準をどこに持ってくるかが難しいと思いますが、1つの方法としてはコード「DXY」、ドルインデックスを参考にすると良いです。DXYはドルの総合的な強さを示す指標(内訳は右記の通り:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)で、ユーロや英ポンドとの連動が大きいのですが、それでもドルの強さの全体感を図ることは出来ますので、こちらをみながらドルが上向きに推移している限りにおいて押し目買いをしていくと良いと思います。

ドルインデックス 4時間足
DXY 4時間足チャート 赤色点線は過去に注目されたチャートポイント
出所:Investing.com

対円は押し目買い方針です。CNH/JPYも管理変動相場制を導入して以降の高値を更新し続けていますが、人民元そのものが強いわけではないので、あまりに高いところは買いたくないと考えています。

CNH/JPY 4時間足チャート
CNH/JPY 4時間足チャート/出所:Investing.com

25銭刻みが丁度よい塩梅でして20.00円、20.25円、20.50円と押し目が発生しています。20.75円が直近の高値ですので、この辺りを抜けた場合には21.00円前後で利食いを入れてきたいところです。ドル/円に為替介入警戒感はあるものの、まだまだ底堅く推移しそうだと見ているので、もしCNH/JPYでエントリーする場合には21円をターゲットにしたいと思います。

個人的な話にはなりますが、外為どっとコムのらくらくFX積立にて2021年7月から人民元積立を実施しています。当時は16円台の後半でしたので、さすがにこのレベルまで上がってくると利食いたい衝動に駆られます。

しかしドル/円がじりじりと高値を更新している状況ですから、もう少しだけ見守ってみる方針です。ドル/円の上昇に陰りが見えたり、21円台まで上昇するようなことがあれば、利食ってしまうと思います。

以上が私の現時点における人民元相場との対峙方法になります。ご参考にして頂ければ幸いです。

戸田裕大


<参考文献>
文中に記載


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【インタビュー記事】

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【「なっとく 豪ドル見通し」はこちら】

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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