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FX/為替予想「年間収支のプラスを達成するために得意な通貨ペアを作る」元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室  戸田裕大

戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、新人トレーダー(個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策を通じて、読者のみなさまの実力UPに役立つ内容をご報告します。

第22回目は「年間収支のプラスを達成するために得意な通貨ペアを作る」です。

目次

1.なぜ得意な通貨ペアを作る必要があるのか?
2.大きく動いている通貨ペアで勝負する戦術はどうか?
3.得意な通貨ペアの候補はあるか?

1.なぜ得意な通貨ペアを作る必要があるのか?

まずトレードで利益を残すには3つの重要な能力があります。①金融リテラシー、②資金・リスク管理、③オペレーションスキル、この3つです。それぞれの詳細な説明については以前にまとめていますので、ご興味のある方は以下のURLより別記事をご確認ください。
ではこの3つの能力をなるべく早く引き上げるにはどうしたらよいか?と考えると答えは簡単です。多くの通貨ペアに手を出すのではなく、通貨ペアを絞るということになります。

先週、英ポンドは対米ドルで大きな値動きを記録しました。月曜日(9月26日)には一時4%弱の下落となったものの、週を通じては下落した4%を取り戻した上で、約3.5%の上昇を記録しました。

GBP/USD時間足チャート
2022年9月最終週のGBP/USD時間足チャート / 上下に非常に大きな値動きを記録した

こういった値動きはめったにあることではないですが、GBP/USDの値動きはUSD/CNH などと比べて激しい傾向にありますし、GBP/USDが史上最安値付近にあったことを加味すると少なくとも市場参加者に狙われやすかったということは言えると思います。

また事前に発表された減税政策や、事後的に発表された長期国債の買い入れ策の影響の大きさをおおむね正確に図ることができた人は少ないと思います。なぜならば多くの日本の個人投資家にとって、英国の政治経済の流れと実際の値動きを並べて理解することは困難だからです。もちろん、ブルームバーグ等のニュースを読んでなんとなく理解することはできますが・・・腹の底から理解するのは難しいよねという話です。

ですが例えば十分に知識のある通貨ペア、例えばドル/円で、ああいった値動きが起こったとすれば、その理由や影響を判断しやすく、そのため即座に売り買いの判断ができるため、相場の荒波を乗り切ることが出来たかも知れません。相場の現状を把握できるか、否か、この差は大きいと思います。

またFXと一言にまとめても、通貨ペアによってチャートの注目点、値動きのクセや特徴は異なります。ですからすべての通貨ペアに同じチャート分析やトレード手法を当てはめても、それぞれ効果が異なるのです

さらに言えばトレードは情報戦でもあります。情報をきちんととれて、且つ自分が一番深く理解できる土俵で戦った方が安全と言えるはずです。

2.大きく動いている通貨ペアで勝負する戦術はどうか?

動いている通貨ペア、すなわち注目の集まっている通貨ペアを積極的に取引するのは決して悪い手法ではありません。むしろ利益の最大化のためには良い考え方と思います。

しかし、それでも取引する通貨ペアの最低限の特徴は理解しておきたいところです。1日の平均の値幅はどの程度か、何時ごろに動きやすいか、今はどういった相場のテーマで動いているか、何がどう変わったら相場は反転しそうか、こういったことをある程度、自分で理解した上でその相場に入っていくべきです。

まだ年間を通してプラスを残すことができていないという方であれば、私は自分の得意なペアに集中した方が良いというアドバイスを送りたいです。なぜならばその方が安全ですし、年間でのトータルプラスを残すという目標に合っているからです。

勝てていないのだったら、流行りに飛び乗るよりは、自分の得意な通貨ペアに集中したほうがよいかも知れないということはぜひ覚えておいてください。皆が盛り上がっているところは楽しいですが、それだけリスクも大きいです。

3.得意な通貨ペアの候補はあるか?

まず必ず覚えないといけない通貨があります。それが米ドルです

米ドルは世界の基軸通貨であり、世界中の個人や法人が米ドルに換えるかどうか?を日々考えて行動しています。したがって米ドルを中心に相場が動いており、米ドルに関する情報を取得するのはFXを行う上でマスト、なくてはならない行動と言えます。

その上で、他の通貨として何を覚えたらよいか?ということですが、セオリーとしては日本円を覚えておくべきです。なぜならば私たちが世界の投資家に先駆けて情報を取得できる通貨であり、且つ自由に売買できる通貨で、日本だからこそスプレッドも狭く、スワップポイントの付与割合も高いからです。

次に私が勧めるのは人民元です。なぜならば日本人にとって言語が近く情報取得が容易で、時差も1時間と少なく、他通貨や他市場への影響の大きいニュースも多く、且つ相場のクセが見通しやすいからです

人民元の相場は「管理変動相場」と言います。これは昔の日本のように1ドル360円として固定されている相場と、現在の日本のように自由に変動する相場のちょうど中間という意味で、変動割合がそこまで大きくない特徴があります。したがってスイング~コアポジションとして持ちやすく、日中は他の仕事をしている方に優しい通貨である点も魅力の1つです。

第二の基軸通貨であるユーロですが、個人的にはユーロの金融政策は複雑であり、且つユーロ加盟国19ヶ国のファンダメンタルズ情報を把握するのは費用対効果で考えると割に合わないため、あまり本腰を入れてトレードしていないです。流動性が豊富で取引のしやすさはありますが、ファンダメンタルズを読んで勝ち切るという点で考えると、日本人にとってはハードルが高いように思います。ユーロ取引そのものは私も行うのですが、一つ得意な通貨ペアを作るという観点ではどこか別の1つの国が分かりやすいでしょう

得意な通貨ペアというのは、自分が好きな通貨ペアと言い換えることも出来ます。まずは1つ、自分の好きな通貨ペアを作って、そこと本気で向き合ってみると、きっと年間トータルプラスが見えてくるのではないかと思います。


それでは本日はここまでとなります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

戸田裕大

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。
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