戸田です。
本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、新人トレーダー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策を通じて、読者のみなさまの実力UPに役立つ内容をご報告します。
第19回目は「チャンスを待つ大切さ」です。
これまでに相場の変動要因、スケジュールの大切さ、情報収集のコツ、チャートの見方、エントリーとイグジットの工夫などお伝えしてきました。
他方でここまで試してみたが、なかなか目に見えた成果が残せないという方も多いと思います。お伝えしてきた基礎的な事項も突き詰めれば奥が深いので習熟するまでに数年は必要ですし、また相場で勝つということに対する性格的な向き不向きもあるからです。
本日お伝えする内容は、その性格的な向き不向きの代表例とも言えます。チャンスを狩人のように待つ姿勢も勝つためには重要で、そこについて踏み込んでみていきたいと思います。
目次
1.先週のAUD/USD相場のチャンス
2.どのようなスタンスで相場に臨めばよいか?
1.先週のAUD/USD相場のチャンス
先週に私が寄稿した記事に載せているAUD/USDの0.68と、0.70というチャートポイントを用いてみていきましょう。
詳しく知りたい方は以下のURLより元記事をご参照ください。
添付のチャートはAUD/USDの日足チャートです。直近は0.6763レベルまで下落したのち0.6820レベルまで回復しています。
記事内にて指摘している通り0.68を割れてからロング(買い持ち)エントリーすることが少なくとも現時点においては成功でした。また、記事内にて指摘の通り0.70を超えてからのエントリーとしていても、エントリーの機会がなく、マイナスは出ていません。唯一のマイナスのケースが、0.68~0.70でのロングエントリーです。
お恥ずかしながら記事を書いている当の本人が、0.68台でロングを入れてしまい、一旦は損切りを余儀なくされています。これはきちんと自分の狙っていたポイントである0.68まで待っていれば、または0.70を超えるまで待てていれば防げていた損失ということです。
これが「チャンスを待つ大切さ」です。どんなに論理的に分析して、それが当たっていたとしても、投資においては、きちんとその時を待つこともとても重要です。
2.どのようなスタンスで相場に臨めばよいか?
FXの楽しみ方は人それぞれであるべきです。使える時間も、チャートを監視できる時間も、投下できる金額も立場によって異なるわけですから、必ず精緻なエントリーを心掛けてくださいと伝えたいのではありません。
例えば、大きなトレンドとしてドル/円は上昇していますので、ドル/円を買い持ちして数週間寝かして勝っている人も世の中にはたくさんいます。そして、この場合には精緻なエントリ―よりも数週間寝かして置ける資金力と精神的な余裕の方が重要です。
ですが、高レバレッジを掛けて、勝ちにこだわり、資金を増やしにいくということを考えると、より精緻なエントリーポイントが求められるというのが、本記事の趣旨です。そしてその精緻なエントリーポイントを求めるのであれば、「チャンスを待つ」という姿勢が重要になってきます。
注目を集めるドル/円においても、トレンドとして上昇しているからといって、厳密にはどこで買ってもいいわけではありません。大きなターゲットをブレイクする局面でトレンドフォローするのか、はたまた押し目を買うのか、特にレバレッジが大きければ大きいほどに、そのエントリーポイントに対する精度の高さが求められます。
またFXは不動産投資などと異なりワンクリックで売買が出来てしまいますので、熱くなってついついその日のうちに取り返そうと思うと、それもまた「チャンスを待つ」という投資行動からかけ離れてしまいます。大きく勝つことにこだわるのであれば、自分を律する力も非常に重要になってきます。
私は職業としてのディーラーを卒業して以降3年間、毎年プラスを保っていますが、それでも、もったいないディールだったとか、もっと早く損切り出来ていればと思うこともあります。ですからみなさんも完璧ではない自分を責める必要はないです。
少しずつ改善して、習慣に落としていくことで、着実にレベルアップを目指していきましょう。
それでは本日はここまでとなります。
戸田裕大
<参考文献>
豪ドルチャート:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
<最新著書のご紹介>
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代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。
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