◆ポンド、英地方選挙後の政局の行方に振らされる展開
◆ポンド、GDPなどでイラン紛争の影響を見極め
◆加ドル、脱・米国依存を目指す動きが足もとでは重し
予想レンジ
ポンド円 210.00-215.00円
加ドル円 113.00-116.50円
5月11日週の展望
来週のポンド相場は、7日に実施された英統一地方選の結果を受けた政局の行方に振らされる展開が続きそうだ。週後半は、イラン紛争の影響を英経済データで見極めることになる。
今回の地方選は、2029年までに行われる次期総選挙に向けた「中間テスト」との位置づけ。イングランドでは労働党が2000近くの議席を失う可能性があるとみられ、保守党も約1000議席減の見込みだ。伝統的な二大政党への支持が崩壊し、右派のポピュリスト政党「リフォームUK」や左派「緑の党」の躍進が確実視されている。すでに求心力が低下していたスターマー首相への退陣論が負け方次第で急速に強まり、そういった中でポンドは神経質な動きとなるだろう。
ポイントは、党勢立て直しをいかに図るか。一部では内閣改造に踏み切るとの見方も浮上しており、最大の焦点はリーブス財務相の去就となる。リーブス氏は財政規律の象徴として国民の不満を一身に受けており、更迭ともなれば政権刷新のシグナルを有権者に送ることになる。ただし、市場は財政規律の後退と受け取る可能性が高く、ポンドへの売り圧力は強まりそうだ。
14日には1-3月期GDP(速報値)、3月月次GDPおよび鉱工業生産が発表予定だ。対イラン軍事行動が開始された時期を含む統計であり、実体経済への影響が数字で示される。四半期GDPは直近2期連続で0.1%増と低空飛行が続いている。9四半期ぶりのマイナス成長ともなれば、利上げを見据える英中銀の舵取りを一層難しくし、ポンドの重石となる可能性がある。
加ドルは、脱・米国依存を目指す動きが足もとでは重しとなりそうだ。カーニー首相は4日、アルメニアで開催された欧州政治共同体(EPC)サミットに非欧州圏の首脳として初めて出席した。トランプ米政権の保護主義に対抗し、貿易相手国の多角化を本格化させる狙いだ。長期的には対米依存の低下につながる可能性があるものの、市場の目線は足元のリスクに向きやすい。欧州への接近姿勢が7月に控えるUSMCA再交渉で米国を刺激しかねず、交渉条件の悪化を警戒する声もある。欧州接近の長期メリットより、目先の通商リスクが加ドルの上値を抑えそうだ。
なお、ホンダがオンタリオ州で計画していた総額150億カナダドルのEV・電池工場建設を無期限凍結した。米国のEV需要低迷とトランプ米政権による補助打ち切りが主因で、カナダ政府の支援が決まっていた大型案件の頓挫は、雇用や関連産業への波及を通じ経済の先行き不安を高める。対カナダ投資環境の悪化懸念も重なり、加ドルの上値は一段と重くなりそうだ。
5月4日週の回顧
ポンド円は、週半ばまで本邦勢不在のなか、政府・日銀による為替介入をうかがわせるようなドル円の動きにつれて値幅を広げた。211円後半まで売り先行後に214円前半まで戻し、その後は211円割れまで急落する場面があった。
加ドル円も、114円後半まで下落後に116.10円まで切り返し、その後は114円前半まで下げ足を速めた。対ドルでは、中東情勢を眺めながら、ポンドは1.35ドル前半から一時1.36ドル半ばまで上昇。加ドルは1.36加ドルを挟み上下した。(了)
(執筆:5月8日、9:30)
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
