本日のニューヨーク為替市場でドル円は、米イラン協議の決裂を受けた「有事のドル買い」が意識されるものの、そのドル高がどこまで続くかを値踏みする展開となりそうだ。米国とイランはパキスタンで直接協議を行ったが、ホルムズ海峡の開放やイランの核開発をめぐって双方の主張は平行線をたどり、合意には至らなかった。トランプ大統領は協議頓挫を受けてホルムズ海峡の全面封鎖を表明し、緊張は一段と高まっている。原油先物相場は高止まりしており、資源輸入国の日本には交易条件の悪化を通じた円安圧力がかかりやすい構図だ。
しかしながら、今回の決裂を「想定内」と受け止める向きも多く、一部からは「有事のドル買い」の持続性には早くも懐疑的な見方が出ている。仲介国が数日中に2回目の協議を模索しているとも伝わり、トランプ大統領自身も「ホルムズ海峡に関して非常に良い展開が起きつつある」と述べるなど、強硬姿勢の裏側に交渉継続の可能性を示唆している。地政学リスクのヘッドラインに振り回されながらも、市場はドル高の持続性を見極めようとしている段階といえそうだ。
ドル円は再び160円台を睨む水準で推移しているが、本邦当局による円安阻止への警戒感は上値を抑える要因。今週、米ワシントンではIMF・世界銀行春季会合が始まり、週後半にはG20財務相・中銀総裁会議も控える。国際会議が開かれている期間中に円安進行が一段と加速すれば、当局のけん制や介入観測が強まりやすい。もっとも、介入期待だけが先行し、実際の対応が伴わなければ、その反動で円売りが強まる可能性もある。
なお、一時7割強まで織り込まれた日銀の4月利上げ観測が不透明感を増している。中東情勢の長期化で物価の上振れリスクと景気の下振れリスクが同時に意識され、日銀の判断も読みづらくなってきた。利上げを見送れば円安圧力が残り、逆に踏み切れば市場を揺らす余地がある。植田日銀総裁の発言も含め、ドル高圧力と介入警戒の綱引きのなかで、ドル円は高値圏で神経質な値動きを続けそうだ。
想定レンジ上限
・ドル円、7日高値160.03円を超えると先月30日高値160.46円
想定レンジ下限
・ドル円、日足一目均衡表・基準線158.87円
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
