本日の欧州時間は、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁をはじめ欧州金融当局者が世界経済フォーラム年次総会(=WEF・ダボス会議)で講演を行う。もっとも、最大の注目は同会議でのトランプ米大統領の演説だろう。
トランプ大統領は昨日、ダボス会議での演説プレビューを求められ、米国の優位性をアピールする方向性を示した。トランプ氏は、「話す内容は何よりも、この1年間で我々が成し遂げた途方もない成功についてだ」と述べている。いつものような自画自賛のスピーチだけでなく、グリーンランドの領有について強気の姿勢を示した場合はドルがさらに弱含む展開になりそうだ。
欧州がグリーンランドの領有を拒否すれば、米国は北大西洋条約機構(NATO)拠点から多くの米兵削減を実施するとの見方が一部から出ている。英国のNATO情報統合センター、ブリュッセルの連合軍特殊作戦部隊司令部、そしてポルトガルに拠点を置く特定の海上作戦を監督するストライクフォルナートなどがその対象とされている。
NATO弱体化は欧州地政学リスクの高まりに繋がるため、ユーロが一時的に売られる可能性はある。しかしながら、すでにドイツをはじめ多くの欧州国が軍事費拡大に動いており、欧州は米国依存から脱却しつつある。米国にとっても必ずもポジティブではなく、その後はドル売りに傾くことが想定される。
欧州各国はこの1年、関税を脅しに使うトランプ政権との交渉で、ある意味では耐性もついてきただろう。米国は、欧州8カ国からの輸入品に2月1日から10%(6月1日から25%)の追加関税を課すと警告。その場合でも一部の株式に売りは集まるが、リスクが広がる可能性は少ないというのが米大手金融機関の見解だ。
一方で、欧州連合(EU)が反威圧措置(Anti-Coercion Instrument: ACI)を発動した場合、米国によるEUの金融やサービス市場へのアクセスが制限され、米企業が大きく痛手を被る。欧州ではACI発動を支持する意見が徐々に増えている。
ドル安を止める(リスクセンチメント改善)シナリオとしては、トランプ大統領がTACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつも尻込みして退く)化することだ。米国がグリーンランドの天然資源にアクセスできるような協力関係をデンマーク側と結ぶ、あるいは、そのような協議を開始することで合意すれば、トランプ政権は追加関税を撤回する可能性がある。
なお、WEFのスケジュールによると、トランプ大統領の演説は日本時間22時30分から23時15分に行われる予定。
ダボス会議以外では、本日トランプ大統領によるクック連邦準備理事会(FRB)理事解任をめぐる訴訟が米最高裁判所で審理される予定。パウエルFRB議長も口頭弁論に出席することで、FRBと米大統領の争いがドルの重しになりそうだ。
ポンドは昨日、英雇用統計で雇用者数が増加したことで上昇した。その後はユーロ買いの勢いが全般強まったため、対ユーロでは軟調な動き。欧州でポンドは、対ドルよりも対ユーロの取引が圧倒的に多いため、本日もユーロポンドの動きが注目される。本日は英国の12月消費者物価指数(CPI)が発表予定。インフレ動向次第では、ポンド相場が敏感に反応するだろう。
・想定レンジ上限
ユーロドル:20日高値1.1768ドル、その上は昨年12月24日高値1.1808ドル
ユーロポンド日足一目均衡表・雲(0.8761ポンドから0.8777ポンド)が抵抗帯
・想定レンジ下限
ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.1671ドル、その下は一目・雲下限1.1637ドルや20日安値1.1633ドル
ユーロポンド:日足一目均衡表・転換線0.8691ポンド
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
