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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、追加利下げへの思惑後退

◆クリスマス休暇で、流動性は極端に低下
◆ポンド、僅差での利下げ決定で追加利下げへの思惑後退、底堅い動きか
◆加ドル、10月GDPや原油相場の動きに注目

予想レンジ
ポンド円 205.00-210.00円
加ドル円 111.50-114.50円

12月22日週の展望
 今週までに主要中銀が今年最後の金融政策会合を終え、来週は多くの市場参加者がクリスマス休暇に入る。流動性が極端に低下する中、突発的なニュースなどで一時的に荒い値動きになる可能性には注意が必要も、基本的には、薄商いや手掛かり難で開店休業状態が続きそうだ。

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は今週、5対4の僅差で0.25%の利下げを決定した。既に緩やかになっている利下げのペースが、今後さらに減速する可能性を示唆する結果と言える。ベイリー総裁は、「金利は引き続き緩やかな低下軌道にある」としながらも、さらなる利下げは「より慎重な判断」が必要になるとの見解を示した。金融政策委員会(MPC)メンバーの意見の相違はかなり深く、来年はコンセンサスを得るのが難しい。経済指標を見極めながらの判断が続きそうだ。

 なお、BOE会合前に発表された8-10月の失業率は5.1%と7-9月の5.0%から上昇。2021年1月以来の高水準となった。また、民間部門も賃金(除賞与)は前年比3.9%と7-9月の4.2%から鈍化し、2020年末以来の低い伸びとなった。ただ、公共部門の賃金は前回の6.6%から7.6%に加速した。12月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.2、サービス部門PMIは52.1と、ともに予想や前月を上回った。企業が11月下旬に発表された予算案による増税への懸念から脱しつつあることが示されたが、依然として生産と需要の全体的な伸びのペースは力強さに欠け、雇用の減少が広範囲に及んでいる。また、11月消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%と前月の3.6%から予想以上に鈍化。3月以来の低水準となった。BOEが注視するサービス価格インフレも横ばい予想に反して4.4%と前月の4.5%から低下した。

 また、カナダでは今週発表された11月CPIが前年比2.2%と、上昇予想に反して前月から横ばい。カナダ中銀(BOC)が重視するコアインフレ指標の一つであるCPI中央値、CPIトリム値はいずれも2.8%と前月の3.0%から伸びが鈍化した。悪天候やトランプ関税の影響で商品価格は上昇したが、関税措置がある中でも更なる高騰に向かう要因は見られていない。最近のカナダの経済指標は改善を示す結果も多く、BOCは当面金融政策の据え置き、関税と利下げの影響を見極めることになりそうだ。来週は10月GDPや11月原料価格指数・鉱工業製品価格などの発表が予定されている。なお、ロシアとウクライナの和平交渉が進んでいることも手がかりに今週のNY原油先物は約4年10カ月ぶりの安値をつけた。原油価格の下落が一段と加速した場合は、産油国通貨である加ドルに売り圧力が強まる可能性がある。

12月15日週の回顧
 ポンドは英雇用・物価データを受けて売りに押される場面があったが、BOE会合の結果公表後は下げ渋った。ポンドドルは1.34ドル台まで持ち直し、ポンド円は一時209円近辺まで上昇した。ドル/加ドルは1.37加ドル台で小動きながら加ドルの底堅さが継続し、加ドル円は日銀会合の結果公表を控え113円を挟んでの小動きにとどまった。(了)

(執筆:12月19日、9:00)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ