◆豪ドル、RBA議事要旨に注目
◆クリスマス休場を控えるなか米GDPには要注意
◆ZAR、良好な経済指標・プラチナの上昇で堅調地合い続く
予想レンジ
豪ドル円 102.00-104.00円
南ア・ランド円 9.20-9.50円
12月22日週の展望
豪ドルは底堅い動きを維持するだろうが、商いは閑散になると思われる。年末を迎え豪州からは注目される経済指標等の発表はなく、来週は23日の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨以外の注目イベントは予定されていない。
RBA理事会の声明文では、引き締めバイアスが明確に示された。一部豪金融機関は来年2回の利上げを予想するなど、市場はタカ派に傾きつつあるが、インフレ高進について議事要旨に声明文よりも強い警戒感が示されているかに注目。また、雇用情勢についての詳細も確認したい。理事会後に発表された11月の雇用統計では、新規雇用者数は減少に転じたが、失業率は4.3%にとどまった。今回の新規雇用者数の減少は「統計的なノイズ」と指摘する声もある。議事要旨でRBAがこれまでのように雇用に関し楽観的な見通しを示すかが注目だ。なお、豪州市場は議事要旨発表翌日の25、26日が休場。市場が動意づくのは難しそうだ。隣国のニュージーランドも主だった経済指標の発表予定がなく、25・26日は豪州同様に休場となる。
オセアニア諸国からの経済指標の発表がほぼ無い中で、注目されるのは政府機関閉鎖の影響で延期されていた米国の経済指標。今週は雇用統計と消費者物価指数(CPI)が発表されたが、23日には7-9月期の国内総生産(GDP)速報値が予定されている。クリスマス休場前の薄商いの中で、予想と結果がかい離していた場合は、豪ドルにも大きな影響を与えそうだ。また、トランプ米大統領が発動した相互関税の合法性を争う訴訟について、早ければ12月中に最高裁の判決が出る可能性があり、判決を受けた相場の急変にも注意したい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調な動きを予想している。今週も対円、対ドルともに年初来高値を更新した。ここ最近の経済指標がほぼすべて良好な結果となっているほか、南アが生産量最大となるプラチナの価格が大幅に上昇していることがZAR買いを促している。プラチナ価格の上昇は複数要因が重なっている。例をあげると、欧州連合(EU)が「エンジン車の販売を2035年に禁止するとした方針を見直す」と発表したことで、エンジン車の排ガス浄化触媒に使用されるプラチナに買いが集まっていることも一因。また、広州先物取引所のプラチナ先物取引量が過去最大に並ぶなど、中国の需要も影響している。プラチナもZARも上げ幅を急速に広げており、多少の調整も予想されるが、全般堅調地合いは維持されそうだ。
12月15日週の回顧
豪ドルは対円では103円後半から102円前半まで弱含んだが下値も堅かった。対ドルでは0.66ドル台を中心にもみ合いになった。ZARは対円では10年超ぶりとなる9.32円台まで上昇。対ドルでも2023年以来の高値を記録した。最近の南アの経済指標が相次いで好結果だったほか、プラチナをはじめとするコモディティ価格が大幅高だったことがZAR買いを促した。(了)
(執筆:12月19日、9:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
