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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、金利据え置きは織り込み済み

◆ポンド、対ドルではFOMCの結果を受けたドルの動きに左右されやすい
◆ポンド、対円では日銀の利上げはほぼ織り込み済みで底堅さを維持するかに注目
◆加ドル、BOCの金利据え置きは織り込み済み

予想レンジ
ポンド円 204.50-208.50円
加ドル円 109.50-112.50円

12月8日週の展望
 ポンドは大注目の英予算案の発表も終わり、下方向への警戒感はいったん後退した。予算案の266 億ポンド増税により、財政余地を90億ポンドから約220億ポンドに拡大したことで投資家の懸念は和らぎ、ポンドに買戻しが入った。ただ、多くの措置が後ろ倒しになっているとの懸念もある。また、財政健全化のための増税が重しとなり、実質GDPの伸びは減速することが見込まれている。予算責任局(OBR)は、実質賃金の伸び鈍化と税負担の増加などで、家計の実質可処分所得の伸びは鈍化するとの見通しを示している。

 来週、英国内では10月GDP、10月鉱工業生産・製造業生産指数などの発表が予定されているが、対ドルでは米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を受けたドルの動きに左右されやすい。対円では、翌週の日銀金融政策決定会合での利上げがほぼ織り込まれており、底堅さを維持しそうだ。また、翌週の18日にはイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利の発表も予定されているが、0.25%の利下げがコンセンサスとなっている。なお、今週に発表された、11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は51.3と速報値から上方修正されたものの、前月からは低下。11月建設業PMIは39.4と2020年5月以来の低水準となった。

 加ドルは10日に予定されているカナダ中銀(BOC)の金融政策会合に注目。BOCは10月会合で経済の低迷とインフレの抑制が続いていることを手掛かりに2会合連続の利下げに踏み切り、政策金利を2.25%にした。ただ、これまでの利下げによって景気を下支えできるとの観測が高まっている。また、インフレ率が着実に2%へ向かっており、現在の特殊な経済環境では金融政策の効果は限定的との声も少なくなく、市場では利下げがいったん打ち止めとなる可能性が高いとの予想。来週の今年最後となる会合では金利据え置きが織り込まれている。11月28日に発表された7-9月期GDPが前期比2.6%と予想を大きく上回ったことも追加利下げ見送りとの見方を後押しているようだ。なお、来年のBOC政策見通しについては引き続き「米国との貿易摩擦がカギ」とみる向きが多く、不確実性が高い。

 来年、当面は2.25%水準での据え置きが続くとの見方や、消費の低迷・労働市場の停滞への懸念が高まれば2.00%に引き下げるとの見方がある一方で、年後半は経済安定の取戻しやインフレ圧力の再浮上への警戒などで利上げに転じるとの見方が出るなど、複数のシナリオが混在している。足元では、米加の貿易摩擦を材料視した動きが一巡しており、加ドルは対ドルで買戻しを試す動きも念頭に入れておきたいところだ。

12月1日週の回顧
 今週は日銀の利上げやFRBの利下げ観測の高まりにドル安・円高に傾くも、値幅は限られた。ポンドは英財政懸念が和らいだことも支えに対ドルでは1.33ドル後半まで上昇したが、対円では207円前半で上値が抑えられた。加ドルは対ドル・対円で小動きが継続。ドル/加ドルは1.39加ドル台を中心に加ドルの底堅さが示されたが、加ドル円は111円台で伸び悩んだ。(了)

(執筆:12月5日、9:00)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ