28日の日経平均は3日ぶり反落。終値は293円安の50219円。米国株高を好感できずに下げて始まると、前日大幅高の反動で序盤は下を試しにいった。300円超下げたところで押し目買いが入り、いったん鋭角的に値を戻した。
切り返した後、前場ではマイナス圏で方向感に欠ける動きが続いた。ソフトバンクグループや東京エレクトロンなど大型グロースの一角が買われたことは下支えとなったものの、プライム全体では値下がり銘柄がかなり多く、強弱感が交錯。深押しすると下値が拾われた一方、下げ幅を縮めると戻りが鈍くなった。
2桁の下落で前場を終えると、後場はドル円が円高に振れたことが警戒されて、下押し圧力が強まった。安いところでは400円超下げる場面もあり、50100円台に突入。反転の手がかりに乏しい中、14時以降は安値圏でのもみ合いが引けまで続いた。
東証プライムの売買代金は概算で5兆8800億円。業種別ではプラスは情報・通信の1業種のみで、銀行や海運などが小幅な下落にとどまった。一方、金属製品、繊維、建設などの下げが大きかった。上方修正や増配を発表したメタウォーターが急騰。半面、下方修正や減配を発表した日本パレットプールが急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり89/値下がり1508。ソフトバンクGが地合いの悪い中でも3%を超える上昇。古河電工が急伸し、1万円の大台に乗せて年初来高値を更新した。証券会社が目標株価を引き上げた東京エレクトロンが大幅上昇。日経平均の構成銘柄に採用が決まったイビデンが商いを伴って16.4%高と急騰した。
一方、東証から特別注意銘柄に指定され、日経平均やTOPIXの構成銘柄から外れることが決まったニデックがストップ安。通期の利益見通しを引き下げたキヤノンが5%を超える下落となった。日米首脳会談実施で材料出尽くしが意識されたか、IHIや川崎重工など防衛関連の一角が大幅安。円高進行を嫌気して日産自動車や三菱自動車など自動車株が嫌われた一方で内需も弱く、大成建設や清水建設など建設株が売りに押された。
日経平均は米国株高を受けても終日軟調。ただ、ほぼ全面安となったにもかかわらず、安値(50107円)でも5万円は下回らなかった。円高進行は逆風にはなったものの、外需が強烈に売られているわけではなく、内需も弱かった。きょうの下げに関しては、短期的な過熱感を冷ますクールダウンの動きと捉えておいた方が良さそうだ。
引け後に決算を発表したアドバンテストは、上方修正、自己株取得、中期経営計画の経営指標引き上げなどを発表しており、足元の業績好調が確認できた。日経平均は上期決算の発表が本格化する前に大きく水準を切り上げているだけに、足元の上昇が本物との見方が強まるためには、良好な決算が多く出てくることが求められる。注目度の高い企業から見栄えの良い決算が出てきたことは大きな安心材料。あすは半導体を中心に、AI関連の奮起に期待したい。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
