本日のNY為替市場のドル円は、米中貿易交渉や米政府機関閉鎖、米地銀の信用不安に関するヘッドラインに警戒しながらの取引は変わらず。加えて、高市新首相誕生を受けた円売りの射程に注目していく展開となる。
本日22時から高市新首相の記者会見が予定されており、円安への見解や日銀の金融政策への見解には警戒しておきたい。
4日に高市新自民党総裁が誕生した局面では、週明けから「高市トレード」(円売り・株買い)」が強まり、ドル円は最終的に153円台まで上昇した。今回の高市新首相誕生では、今のところ151円台後半までに留まっている。
ドル円の上値を抑える要因としては、今週開催予定のベッセント米財務長官と何・中国副首相による貿易協議、その後に開かれる可能性がある米中首脳会談への警戒感が払拭されていないこと。また、今月末のFOMCでの追加利下げ観測などが挙げられる。FOMCに関しては、パウエルFRB議長が先日、量的金融引締政策(QT)の停止に言及し、ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)が3.0%を割り込むことが見込まれている。
28日に予定されている日米首脳会談では、日米関税合意や米国への5500億ドルの投資スキームなどが確認される見込み。ただし、トランプ米大統領にとってはドル高・円安は不満の種であるとされ、こちらが円売りを躊躇させる要因かもしれない。
なお、かつてベッセント財務長官は、日米の関税合意の実施状況にトランプ大統領が不満を感じれば、関税率を25%に戻す可能性を示唆していた。ドル高・円安傾向が続けば、日米貿易不均衡が是正されにくくなる。そのため、トランプ米大統領が対日関税率を25%へ引き上げると言いかねないため、本邦通貨当局の円安是正措置にも警戒しておきたい。
9月カナダ消費者物価指数(CPI)の予想は前月比-0.1%と前回と同値、前年比は+2.2%と前回+1.9%からの伸び率上昇が見込まれている。今月29日のカナダ中銀(BOC)金融政策決定会合に向けては、追加利下げと据え置きの見方が拮抗しており、CPIのサプライズには警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、152.61円(10/14高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、150.28円(10/20安値)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
