本日のNY為替市場では、米欧の金融政策の方向性の違いが意識されるか、米長期金利を見ながら確認してゆきたい。
昨日の欧州中銀(ECB)理事会で、ラガルド総裁は「ユーロ圏経済成長に対するリスクはより均衡が取れてきた」「ディスインフレのプロセスは終了した」などと発言した。これを受け、市場ではECBの利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が広がり、ユーロドルは堅調に推移した。
他方、米国については来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが既定路線となるなか、市場の関心は利下げ幅となっている。CMEのフェドウォッチ・ツールを見ると、来週のFOMCでの利下げ確率は0.50%が8%弱に留まり、残り90%以上は0.25%となっている。
米経済イベントでは9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値の発表が予定されており、市場予想は58.0と前月の58.2を下回る見通し。インフレ見通しについては、先月は1年先が4.8%、5-10年先は3.5%であった。昨日はインフレ指標への反応は鈍く、雇用指標に敏感に反応したが、本日は雇用指標の発表はないことでインフレ見通しに素直に反応しそうだ。仮に、インフレ見通しが予想より弱い内容となった場合は大幅利下げが想起されてドル売りに作用するだろう。特に金融政策の方向性の違いが意識され、対ユーロや対円でドル売りが進みやすいと見る。
また、時刻未定ながら本日予定されている格付け会社フィッチ・レーティングスによるフランスのソブリン格付けの見直し発表は注意したい。政局混迷を受けて格下げに動くようだとユーロ相場への影響が懸念される。
円相場という点では、決戦まで1カ月弱あるもの、自民党総裁選関連のヘッドラインにも気を付けたい。特に「積極財政派」とされる高市氏に関する報道が伝われば円売りを促すことも考えらえる。
本日は週末ということで、連日で過去最高値を更新しているダウ平均を始めとした米株主要3指数の動きも気になるところ。週末を前にポジション調整の動きが出るようだと、ドル円の重しとなるかもしれない。そのほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長への批判が相次いでいるトランプ米大統領を始めとした米政府関係者の不意の発言には備えておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の雲の上限148.16円。超えると200日移動平均線148.77円
・ユーロドルは、7月1日に付けた年初来高値1.1829ドル。
想定レンジ下限
・ドル円は、11日安値146.99円。割り込むと9日安値146.31円
・ユーロドルは、11日安値1.1662ドル。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
