本日のロンドン為替市場は、月初に絡んだフローで上下する展開か。ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングは、ニューヨーク勢不在(米、レーバーデーで祝日)で流動性が通常より薄くなる時間帯でもあり、いつもより値幅を伴った動きとなるかもしれない。経済指標は、改定値だが欧州の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。
市場が米金利先安観を維持する一方、欧州中央銀行(ECB)の利下げサイクルが終わりに近づいているとの見方が広まりつつある。明日の8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が注目されるところだが、本日については足もとの欧州景気動向をまずは確認したい。
8月仏・独製造業PMIは速報値で景況判断の境目50に僅かに届かなかった。もし本日の改定値が上振れれば、フランスは約2年半ぶり、ドイツが約3年ぶりの50超えとなる。ユーロ圏の同PMIが速報値と変わらず50台を維持すれば、ユーロドルの底堅さに繋がるのではないか。
もっとも、8日の仏下院における内閣信任投票を控え、積極的にユーロの上値を追えないという見方も根強い。欧州委員会からは仏財政赤字の是正要求が強まっており、そうした中でバイル首相は歳出削減と増税を提案した。予算案を通すために首相は信任投票の実施を決めたが、不信任が過半数を占めると見られている。
仏政局の先行き不透明感から財政不安も拡大しており、先週末の仏10年債利回りは3.51%とギリシャより約10ベーシスポイント(bp)高い水準で終えた。財政状況が厳しいとされるイタリアの同年債利回り3.58%にも近づいている。8日の信任投票に向けて仏長期債への売り圧力は続く(利回りは上昇基調)と予想され、そうなるとユーロドルの上値も限定されてしまいそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、8月22日高値1.1743ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、8月28日安値1.1629ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
