本日のNY為替市場のドル円は、米7月PCEデフレーターを見極めつつ、月末のロンドン・フィキシングのフローやトランプ米大統領によるクックFRB理事の提訴に対する反論などに警戒していく展開となる。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの7月分は前年比+2.6%と予想されており、6月分の伸び率と変わらずと見込まれている。
先日発表された7月の消費者物価指数(CPI)の伸び率も6月分とほぼ変わらずだったが、卸売物価指数(PPI)は川上の輸入企業が関税分を価格に転嫁し始めていることで伸び率が上昇しており、8月の川下のCPIの伸び率加速が警戒される結果となった。
パウエルFRB議長も、トランプ関税の影響が8月の物価から顕在化する可能性に言及していたことで、8月の米国のインフレ指標が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に影響する可能性には警戒しておきたい。
しかし、先週のジャクソンホール会合では、パウエルFRB議長が2つの責務の内、「物価の安定」から「雇用の最大化」に軸足を移して、9月FOMCでの利下げの可能性に言及していた。
先日発表された8月の消費者信頼感指数での労働市場格差指数は、8カ月連続して雇用情勢の悪化傾向を示していたことで、トランプ政権の関税政策や移民政策による悪影響が警戒されつつある。
雇用情勢悪化懸念を受けた利下げ観測の高まりがドルの上値を重くしつつあることで、本日の米7月PCEデフレーターでは、予想を下回るネガティブサプライズに警戒しておきたい。
また、トランプ米大統領によるクックFRB理事の解任表明に対して、クックFRB理事が提訴に踏み切った。クックFRB理事は、「予備的差し止め命令」を裁判所に求めることで、訴訟が進行する間は解任を一時的に阻止できる可能性がある。
一方で、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は、クックFRB理事は訴訟の間は休職すべきだと主張しており、9月FOMCでは、トランプ・チルドレン(ウォラーFRB理事、ボウマンFRB副議長、ミランFRB暫定理事)による利下げ圧力が強まる可能性がある。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、147.68円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.65円(日足一目均衡表・雲の下限)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
