本日のロンドン為替市場では、トランプ米大統領が「クック米連邦準備理事会(FRB)の解任」に踏み切ったことに対する欧州勢の反応をまずは見極めたい。またトランプ大統領が要求している「米ハイテク企業に対するデジタル関税の撤廃」について、欧州連合(EU)への影響も見定める必要がある。ユーロ圏からは、昨日の仏資産売りにつながった仏政局の動向が注目される。
クックFRB理事の解任理由は、同理事の住宅ローン契約を巡る不正疑惑。もっとも、この件について米司法省は調査中としており、不正はあくまで「表向きの理由」と市場は捉えている。実際には、FRB理事の多数派をトランプ派で形成したいという大統領の思惑が働いていると見ているもよう。世界で最も影響力がある中銀の独立性に対する懸念が一層高まり、当然ドルにとってはネガティブだ。
東京午前には、トランプ米大統領の発言「米国の卓越したハイテク企業に攻撃を仕掛ける国々に断固として立ち向かう」が伝わった。トランプ米政権は昨日、EUの「巨大IT企業規制の実施」に関係した加盟国の当局者に対しても、制裁を検討していることが報じられている。規制構築に関与した個人を制裁対象とするのは極めて稀なケースであり、EUからの反発も強まるはずだ。貿易を巡るEUと米国間の溝も、再び広まってしまう恐れがある。
なおフランスでは、少数与党政権の崩壊危機が高まっている。バイル・仏首相は昨日、大規模な予算削減計画に対する信任投票の実施を発表した。9月8日行われるとされたが、問題は主要野党3党が信任しない意向を示したこと。そうなると、来月にも仏内閣が総辞職に追い込まれる可能性が浮上した。
もともと仏政局は安定していないものの、信任投票の件で先行きの不透明感が一層深まった。これを嫌気し、昨日は仏株や債券に売りが集まった。本日も仏資産を手放す動きが続けば、ユーロの伸び悩みに繋がってしまうだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、22日高値1.1743ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、22日安値1.1583ドルを割り込むと90日移動平均線1.1516ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
