15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利が低下した局面では146.74円まで下落した後、米長期金利が上昇に転じたことで147.33円付近まで買い戻された。ユーロドルは、独長期金利の上昇と米長期金利の低下を受けて1.1715ドルまで上昇した。ユーロ円は172.38円まで値を上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、22日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でのパウエルFRB議長の講演を控えて動きづらい中、米長期金利の上昇で底堅い展開が予想される。
日本サイドの重要な材料としては、石破首相の進退問題や22日に発表される日本の7月消費者物価指数(CPI)などが挙げられる。
先週末に発表された日本の4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値がポジティブサプライズだったことで、日銀の利上げ再開の目安である「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」をクリアした。さらに、利上げを停止していたトランプ関税の不確実性も後退しつつある。 日本の7月CPI次第では、10月の日銀金融政策決定会合での利上げ再開の可能性が高まることになる。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関しては、低調な雇用情勢が示された7月の雇用統計、まちまちな結果だった7月消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)を受けて、22日の23時に予定されているジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演を待つことになる。
メインシナリオとしては、パウエルFRB議長は、FRBの2つの責務である「雇用の最大化」と「物価の安定」の内、「雇用の最大化」に軸足を置いて、フェドウオッチが見込む9月FOMCでの0.25%の利下げを容認することになる。9月のFOMCでは、3名のトランプ・チルドレン(ウォラーFRB理事、ボウマンFRB副議長、ミランFRB暫定理事)が利下げを主張することが見込まれている。ちなみに、昨年8月23日のジャクソンホール会合では、パウエルFRB議長は、「利下げの時が来た(Time Has Come for Fed to Cut Interest Rates)」と表明していた。
リスクシナリオは、トランプ関税による不確実性が残されているため、8月の物価指標を見極めるまでは据え置きスタンスを堅持した場合、そして、ベッセント米財務長官による0.50%の利下げ圧力に屈する場合となる。
ドル円のテクニカル分析では、1日の高値150.92円から146円台まで下落した後、149円台前半の200日移動平均線が上値を抑える中で、146円-148円での保ち合い、フラッグを形成しつつある。また、N計算値(150.92円~146.62円~148.52円)では、支持帯となっている一目均衡表の雲を下抜けて、目標値144.22円を目指す展開が見込まれている。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
