本日のニューヨーク為替市場では、米金利先安観の強弱を見極めながらドル相場は方向感を探ることになりそうだ。欧州前半までは、昨日の7月米消費者物価指数(CPI)以降のドルの重さが継続されている。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも、97.60台と7月28日以来の低い水準で下値を探る動きだ。
本日は重要な経済指標は予定されていないものの、複数の金融当局者の講演は予定されている。また昨日もトランプ大統領は、インフレ指標の発表後にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を強く批判しており、本日もそのコメントには注意しておきたい。
7月米CPIは前年比総合が予想ほど上昇せず、2.7%と前回値と同じだった。一方でコア前年比は予想以上に加速していたものの、トランプ関税の影響は懸念していたほど消費者に転嫁していないと市場は解釈したようだ。CMEのフェドウォッチでは、今年残り3回(9、10、12月)の米連邦公開市場委員会(FOMC)に対して、すべて0.25%の利下げが実施されるとする確率が再び53%台まで拡大してきた。
7月米雇用統計後に急低下した米10年債利回りは、先週前半から切り返していたが、本日の時間外では再び低下に転じている。今月一番低かった水準4.18%前半が意識されるようだと、ドル売りに拍車がかかるかもしれない。
本日は、バーキン米リッチモンド連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁らが講演予定。特に、今年のFOMC投票メンバーであるシカゴ連銀総裁の発言内容は注目か。ベッセント米財務長官は昨日、「次回9月FOMCで0.50%の利下げを検討すべき」と述べており、これに対する各連銀総裁の意見も気になるところ。なお昨日の講演でFOMC投票メンバーのシュミッド米カンザスシティー連銀総裁は、早期利下げに対して慎重な見解を示した。
ところで、トランプ米大統領が次の労働統計局長に指名したアントニー氏が雇用統計について、「現在の月次ではなく、暫く四半期ベースで発表すべき」と提案した。昨日のNY市場ではこれもドル売り材料とされており、関連報道には注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円、12日高値148.52円
想定レンジ下限
・ドル円、5日安値146.62円
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
