昨日のNY市場でドル円は、米10年債利回りが4.2789%前後まで急騰した場面では147.66円まで買い戻しが一気に進んだものの、米10年債利回りが4.21%台まで上昇幅を縮小すると失速した。4時前には一時146.98円と日通し安値を更新した。ユーロドルは欧州時間に進んだユーロ高・ドル安の流れを引き継いで、NY勢参入後も上値を試す展開となり一時1.1669ドルと7月28日以来の高値を付けた。
本日の東京時間でのドル円も引き続き147円台を中心としたレンジ取引になりそうだ。ただ、多くの輸出・輸入企業が13日から始まるお盆を前に、11日から夏季休暇に入ることで、連休前の本日と明日に実需勢のドル買い・ドル売りともに散見されることが予想され、本邦勢のフローが相場を急転させるリスクには備えておきたい。
昨日はユーロドルが7月下旬以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだものの、ドル円を含めた多くの通貨では小幅なドル安に収まっている。ドル円を含め多くの通貨では先週の雇用統計ショックが落ち着き、夏枯れ相場とともに連日レンジ内から抜け出せないでいる。当面は、新たなニュースや発言等が出るまでは方向性を模索していく展開になりそうだ。
ただ、リスクとしてはドル安が大きいのは確か。早朝にトランプ米大統領は大統領執務室で会見をした際に「上がっているのは株価だけだ」と発言し、関税による物価高が起きていないような発言をしている。このような発言をしたことで、週末に解雇されたマッケンターファー米労働省労働統計局(BLS)局長の後任は、今後発表される消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の指標結果を、恣意的に大統領の希望通りの低インフレ結果となるように操作する可能性すらありそうだ。指標の操作を否定する声が一部ではあるが、日本国内でも2004年から2017年まで厚労省が毎月勤労統計調査を改ざん、2021年12月には国土交通省も、国が特に重要だと位置づける基幹統計の一つ建設工事受注動態統計でも不正が明らかになっている。後者に至っては原票を消しゴムで消し、鉛筆で修正していたことも判明している。先進国と言えども、指標の操作がないとは否定することはできない。
本日のアジア時間では、本邦から対外対内証券売買契約等の状況、景気動向指数・速報値など、中国と豪州から貿易収支が発表される。中国の貿易収支は対米の収支を中心に興味深いものになるだろうが、いずれの指標とも為替相場への影響は限られたものになりそうだ。ただ、欧州入り後に英中銀(イングランド銀行=BOE)が政策金利を発表することで、ポンドが大きな値動きを見せることにもなりそうだ。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
