30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想通りに政策金利が据え置かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長の記者会見がタカ派だったことで、149.54円まで上昇した。ユーロドルは1.1401ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合では現状の金融政策の維持が見込まれており、注目ポイントは植田日銀総裁の記者会見となる。
植田日銀総裁は、これまでの金融政策の現状維持の理由にトランプ関税の不確実性を挙げていた。しかし、先日の日米関税合意により、昨年までの関税率1.6%(※除くコメ)が15%に引き上げられたことで、不確実性が後退しており、利上げ時期への言及に要注目となる。
23日の内田日銀副総裁の講演では、日米の関税交渉の合意について「大変、大きな前進だ。日本経済にとって関税政策をめぐる不確実性の低下につながる」と述べ、経済や物価情勢の改善に応じて利上げを進める方針も改めて表明していた。
米連邦準備理事会(FRB)が、6月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+2.7%なのに、政策金利を4.25-50%に据え置いたのは、オーバーキルの可能性が指摘されている。一方で、日本銀行が6月の日本のCPIが前年比+3.3%なのに、政策金利を0.50%に据え置くのは、アンダーキルの可能性があり、不確実性の逓減により、日米金融政策の中立金利水準に向けた収束が待たれるのではないだろうか。
本日の植田日銀総裁の会見でのリスクシナリオは、1年前に政策金利を0.25%に利上げした後に「0.5%が壁になるとは認識していない」と述べつつ、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示したことの再現となる。
とはいえ、植田日銀総裁がハト派的な見解を示した場合は、ドル円は200日移動平均線149.59円を上抜けて150円台に乗せる可能性が高まる。
先日、トランプ米大統領は赤沢経済再生相との日米関税合意の席で、「日本が円安を望んでいる。私は強いドルを好むが、ドル安の方がお金は稼げる」と述べていた。そして、円安の要因を日銀の低金利だと指摘しているベッセント米財務長官は、日米関税合意について、「トランプ大統領が日本の実行状況に不満であれば、関税率は自動車も含めて25%に逆戻りする」と述べていた。
日本の為替政策を管轄する三村財務官は、赤沢経済再生相の傍らでトランプ米大統領の円安牽制発言を聞いており、15%の関税を死守するためにドル高・円安の阻止に動く可能性を警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
