本日のNY時間では、2日目を迎える米中閣僚級貿易協議で両国がどの程度の合意を発表するかが注目される。市場では、すでに米中の多くの要人発言や報道があるように、関税の90日間の一時停止延長がコンセンサスになっている。
米中関税合戦は、4月に米国が対中関税を145%に引き上げると発表し、中国も報復的に米国に125%の関税引き上げを課すと発表したことで、世界の金融市場が一時混乱した。その後、米国側は中国のレアアースの輸出規制が響き、輸出規制解除の代償として他国同様に中国に対しても10%の基本関税を維持することになった。本来であれば、ウクライナとロシアの戦争の早期停戦で、ウクライナにあるレアアースを獲得すれば、米国は中国に対して強気な外交姿勢を保つことができた。しかし、プーチン露大統領が停戦に抵抗したことで、レアアース獲得が水の泡になり、米国の中国との交渉は弱腰でしかいられなくなっている。
このような状況下で、中国は基本関税の10%に追加されているフェンタニルの20%関税の撤廃を要求していると思われる。ただ、すでに対中関税が骨抜きとなっていることで、フェンタニルに関する関税撤廃を無条件でトランプ政権が飲むこともできない。
その妥協点として、中国が米国産大豆、航空機部品の購入や、中国企業の米国の製造業への投資などを示す可能性が指摘されている。これをトランプ政権が受け入れれば、フェンタニル関税が撤廃され、市場にとってポジティブサプライズとなりそうだ。
また、今回の会談では米中の首脳会談を行うことを発表する可能性もありそうだ。具体的な日程等まで決定されるかはわからないが、中国からの投資等を発表する場合は、トランプ大統領が自ら手柄を支持者に示そうとするため、首脳会談までは米中協議の進展を隠すこともあり得そうだ。
なお、対露制裁に関しては、中露関係が良好なこともあり、中国がロシア産の原油購入を中断することは考えにくく、中国が対露制裁に加わるのを期待するのは難しい。
米国からの経済指標は複数発表されるが、市場の反応が一番大きくなるのは6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数になるか。ただ、明日に米連邦公開市場委員(FOMC)の結果発表を控えているほか、31日に6月米PCEデフレーター、1日に同月雇用統計の発表も予定されていることで、トレンドを作るほどの動きにはなりにくそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、16日高値149.18円。その上は200日移動平均線149.62円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、28日安値147.52円から日足一目均衡表・転換線の147.48円
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
