昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸し、一時149.02円まで上昇した。6月米消費者物価指数(CPI)はほぼ予想に沿った結果であり、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を据え置くとの観測が広がった。米長期金利が上昇によるドル買いで、ユーロドルも1.1593ドルまでユーロ安ドル高が進んだ。
本日の東京タイムでも、先週末から強まったドル高・円安の流れは基本維持されるだろう。ただしドル円は、海外市場で大きく上昇した後の東京市場が調整の場になることも多い。11日からの3営業日で上昇幅は3円近くにも達しており、ある程度の下向きの動きは念頭に入れておきたい。
昨日の6月米CPIを受けて、直近の米金融政策に対する見通しは変わっていないが、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)については見方が分かれている。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によれば、7月末のFOMCにおいて政策金利据え置きはほぼ確定。ただ9月会合については、0.25%利下げ織り込み度は前日から4ポイント程度下がり、金利引き下げ見通しは5割を上回った程度だ。
フェドウォッチの年末にかけての見通しは、前回6月のFOMCにおいて委員会メンバーが示した「2回の利下げ」を依然として織り込んでいる。ただし、6月CPI発表後の米長期金利の動きをみる限り、トランプ関税による不確実性が残るなかで金利先安観は強まり難いということなのだろう。そうなると、米金利の面からドルの底堅さは続くことになる。
トランプ米大統領は昨日も消費者物価は低いとし、FRBに改めて利下げを要求した。もっとも、お決まりの文句に市場の反応は限定的。また昨日は、ベッセント米財務長官が「中央銀行の独立は政策において非常に重要」との見解を示し、トランプ大統領がもたらす市場の不安感を薄めている。なおベッセント氏は、「FRB議長の後任候補を選定する正式なプロセスがすでに始まっている」と明らかにしたものの、「米大統領の言う通り、パウエル氏のFRB議長解任は検討されていない」と述べた。
このところの円安基調は、20日投開票が実施される参院選を巡る政局不透明感も影響しているもよう。選挙に向けた複数の世論調査で、与党不利との見通しが示されている。直近の調査では自民、公民が非改選を合わせても過半数維持が微妙ということだ。
野党が掲げる財政拡大政策を警戒し、本邦の超長期債相場は軟調な地合いが続いている。債券利回りは上昇しているため、東京タイムでは円高に傾く場面も見受けられるが、それも一時的。ここから与党が一気に支持率を回復するとは思えず、今週はまだ暫く、同じような動きが続くことになりそうだ。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
