本日のロンドン為替市場では、トランプ関税に関連した報道に注目しながらの取引か。重要な経済指標の発表はなく、金融当局者の講演もブイチッチ・クロアチア中銀総裁が予定されている程度。
トランプ大統領は12日、自身のSNSで欧州連合(EU)からの輸入品に対し8月1日から30%の関税を課す書簡を発表した。これに対しフォンデアライエン欧州委員長は、「交渉による解決を目指す」との見解を改めて表明。EU側は、15日に発動予定だった米国への報復措置(鉄鋼・アルミへの関税強化に対抗したもの)を8月上旬まで延長した。この猶予期間を話し合いにあてるとしている。
トランプ米大統領が関税強化の書簡をばら撒いているのは、依然として市場のリスク要因。一方で上乗せ関税の発動時期が後ずれしたことや、合意を目指した貿易協議の継続は過度な警戒感を後退させている。今後もトランプ氏の強気な姿勢は続くのだろうが、一方で米政権の高官からはEUとの落しどころを探るような発言も出てくるのではないか。いずれにせよ、米国とEUの歩み寄りの度合いを測りながら、ユーロドルは上下することになりそうだ。
ところで、米国の商品先物取引委員会(CFTC)が発表した8日時点における投機筋の先物ポジション状況では、ユーロのネットロングが12万枚超まで拡大。これは2023年12月以来の高い水準ではあるものの、当時は15万枚を上回る水準までロングを増やしていた。水準も相場を巡る状況も違うため一概に比較はできないが、ポジションは偏ってはいるものの、投機筋が買い増す余地はまだあるのかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、10日高値1.1750ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1601ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
