本日のロンドン為替市場のユーロドルは、引き続き欧州連合(EU)とトランプ米政権による通商協議に関するヘッドラインに警戒しながら、チポローネECB専務理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁らの講演を見極めていくことになる。
昨日は英紙フィナンシャル・タイムズが、欧州連合(EU)と米国の貿易交渉で、米国が英国に認めた水準より高い関税をEUに課す内容で合意に近づいている、と報じた。
また、フォンデアライエン欧州委員長は、「米国との貿易合意に向けて、EUはあらゆるシナリオに備えている。貿易合意に達するためEUは断固たる姿勢で交渉にのぞみ、米国と緊密に協力する」と述べていた。
さらに、メルツ独首相も、「EUと米国の貿易協定、慎重ながらも楽観的。今月末までに米国と合意に達することができると期待」と述べており、欧米通商合意観測が高まりつつある。
気がかりな報道としては、ECB幹部が、異常気象がもたらす熱波や洪水、山火事などがユーロ圏の域内総生産(GDP)を今後5年間で約5%押し下げる可能性があるとの見解を示したことが挙げられる。
トランプ米政権の大規模な減税・歳出法案では、気候変動対策の予算が削減されており、今後は、世界的な異常気象が世界金融危機や新型コロナウイルス禍に匹敵する悪影響を及ぼす可能性には警戒しておきたい。
デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁は、先日、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性があると指摘していたが、昨日も「ユーロの為替レートが一定の安定を示し、経済成長の観点からこれ以上悪影響を及ぼさないことを望む」と述べていた。
本日予定されているチポローネECB専務理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁の講演では、利下げ時期への言及やユーロ高への見解に注目しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:172.28円(7/9高値=年初来高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1601ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.37円(日足一目均衡表・転換線)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
