
東証プライムの売買代金は概算で3兆8800億円。業種別では電気・ガス、銀行、証券・商品先物などが上昇した一方、海運、鉄鋼、非鉄金属などが下落した。上期決算と併せて自己株取得やアヲハタの完全子会社化などを発表したキユーピーが急騰しており、アヲハタはストップ高比例配分となった。半面、米国では長期金利の上昇を受けて住宅関連株が売られたことから、米国で住宅事業を手掛ける住友林業が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり785/値下がり757。決算や株式分割が好感された霞ヶ関キャピタルが、全市場の売買代金トップ10入りする大商いとなって12.6%高。米長期金利の上昇を手がかりに、三菱UFJやみずほFGなど銀行株に資金が向かった。証券会社が目標株価を引き上げたSCREENが大幅高。東電HD、北海道電力、九州電力など電力株に強い動きが見られた。
一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。ドル円は米雇用統計発表後には円安に振れたが、東京時間では円高に傾斜しており、トヨタや日産自動車など自動車株が軒並み安となった。米長期金利上昇を嫌気して三井不動産や三菱地所など不動産株が下落。三菱マテリアルや住友鉱山など前日強く買われた非鉄株が売りに押された。
グロース市場に新規上場したヒットは、公開価格を大幅に上回る初値をつけた後も買いが続いてストップ高で終えた。
日経平均は序盤に4万円を上回る場面があったものの、買い一巡後は伸び悩んだ。米国株高と円安進行で日本株には願ってもない展開になるかと思われたが、ドル円に関しては早々に円安一服感が出てきており、楽観に傾くことはできなかった。米6月雇用統計に関しては、ヘッドラインは市場予想を上回ったものの、中身を吟味するとそれほど良くはないとの指摘もある。米国景気に対する不安が高まるようだと、ドル円は円安(ドル高)には振れづらくなる。前日に特段為替の恩恵がない中で強く買われた自動車株は、きょうは弱さが目立った。一転円高が加速するようだと日本株にはネガティブな影響が及ぶと思われるだけに、引き続き為替動向には注意を払っておきたい。
【来週の見通し】
不安定な展開か。トランプ政権が関税の猶予期限としていた7月9日を迎える。直近でトランプ大統領が日本の自動車やコメの貿易に不満を示しており、交渉難航はある程度織り込まれていると思われるが、期限のタイミングで大統領が改めて日本批判を強める可能性もあるだけに油断はできない。一方、小売関連の決算発表が増えてくる時期で、ファーストリテイリングやセブン&アイなどの決算も週内に消化する。「関税リスク」が意識される中で、内需株には資金が向かいそう。ナスダックやS&P500が最高値を更新するなど、米国株の動きが良いことも下支え要因として期待できる。トランプ政権絡みのニュースに振り回されるだろうが、悲観一辺倒にはならず、大幅安もあれば大幅高もあるといった荒い動きが続くと予想する。
【今週を振り返る】
軟調となった。週明け6月30日の日経平均は大幅高となったが、40800円台に乗せた後に失速して終値では40500円を下回っており、高値警戒感が台頭した。7月に入って1日は円高に神経質な反応を示して500円を超える下落となり、終値で4万円を下回った。2日はトランプ大統領が日本に対する関税引き上げを示唆したことが伝わったことから、連日で3桁の下落。3日は米雇用統計の発表を前に様子見姿勢が強まる中で、小幅に上昇した。米国の6月雇用統計は良好な内容となり、結果を受けた米国株は大幅上昇。ただ、この動きに対する日本株の反応は案外で、4日は小幅なプラスにとどまった。日経平均は週間では約339円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ