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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英財政リスクが重し

◆ポンド、英財政不安に警戒
◆ポンド、5月GDPが低調なら8月利下げの織り込みが加速か
◆加ドル、米加協議を睨みつつ6月雇用統計に注目

予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円 
加ドル円 105.00-108.00円 

7月7日週の展望
 ドル安と円の対ドルでの伸び悩みがポンドの支えとなっているが、ポンド独自にも英財政リスクとイングランド銀行(英中銀、BOE)による早期利下げの思惑で売り圧力が強い。英政府は財源確保のために福祉改革による歳出削減策を提案したが、与党・労働党からも反発が強く、修正を余儀なくされている。政府は財政規律を満たすため、秋に財政健全化策を発表する予定だが、今後の歳出削減が実現しなければ、増税または追加の国債発行が必要になる可能性が高い。

 英市場はここ数年、債務増大と経済成長鈍化を懸念する投資家からたびたび厳しい売りにさらされてきた。2022年には、当時のトラス首相が打ち出した財源の裏付けがない減税案が無謀だと市場に受け取られ、英国資産は大きく変動。国債は最大の売りを記録し、ポンドは37年ぶりの安値まで下落した。今週も、政府の福祉予算の削減案が撤回され、財政規律を重視するリーブス財務相の交代観測も広がり、財政悪化の不安が高まった。スターマー英首相は市場の一撃を受けて「今後何年も財務相にとどまる」と火消しに走ったが、社会保障改革により財政赤字を抑制するリーブス財務相の計画に狂いが生じており、英財政不安への警戒感は払しょくされていない。

 また、英中銀の利下げ思惑の高まりもポンドの重し。来週、英国内では5月GDPの発表が予定されているが、4月GDPは前月比-0.3%とサービス業の減速が響き大幅なマイナスとなった。6月の英小売売上高が落ち込み、7月の見通しも悪化。労働市場も軟化するなど英経済に減速リスクが高まっており、市場では英中銀が次回8月会合で利下げに踏み切るとの見方が強まっている。

 加ドルは、ドル安の流れが続いていることを支えに底堅い動きが続いている。2月にはトランプ米大統領がカナダに対し厳しい関税方針を示したことで、対ドルで一時1.48加ドル手前と2003年以来の加ドル安が進んだが、1.35加ドル台まで加ドルが買い戻されている。一部では、米国株を大量に保有するカナダの年金基金が為替ヘッジを強化する必要に迫られているため、「一段とドル売り・加ドル買いの圧力が強まる可能性がある」との声も聞かれている。

 ただ、目先は米加貿易交渉を睨みつつ、指標で経済状況を確認することになりそうだ。トランプ米大統領は、カナダとの貿易交渉打ち切りを表明したが、カナダが協議中止の原因となった米IT企業に対するデジタル課税を撤回したため、協議は再開。21日までに妥結を目指すことになった。来週、加国内では6月雇用統計の発表が予定されている。なお、2日発表の6月製造業PMIは45.6と約5年ぶりの低水準。米関税の影響により5カ月連続で景気判断の分岐点とされる50を下回った。

6月30日週の回顧
 ポンドは対ドルで2021年10月以来の高値となる1.37ドル後半まで上昇したが、英財政リスクを意識したトリプル安(英債・英株・ポンド)で1.35ドル台まで押し戻された。対円でも一時195円前半まで失速したが、198円台まで切り返した。ドル/加ドルはドルの動きに振られ1.36ドルを挟んで上下。加ドル円は106円後半まで持ち直すなど底堅い動きとなった。(了)
(執筆:7月4日、9:30)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ